やっぱり運命の人~third~

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Aさんの唇は、心なしか、前より暖かった気がした。





「…稜雅…さん…？」





『え…っ！？』





赤い唇しか目に入ってなかった。





Aさんがいつ起きたのか分からない。





「いま…なに、したん…ですか」





『えーっ……と…んー…ははっ…』





「…キス…しました…？」





『はぁ！？…は…は？』





Aさんの表情は、少しだけニヤついてるようにも見える。





「…した？…しましたよ、ね？私、それで…起き、ました、…！」





『……最悪だわ』





なんちゅうタイミングで起きてくれんだよ。





そして起きて早々ニヤつくなよ。





「え…ほんとに、したん…ですか…！？」





『え？だってそれで起きたんじゃないの？』





「起きた、ときに…私、ベットドン…されて、たし…そうかなって…軽い気持ち…で」





顔を真っ赤にするAさんが可愛すぎて、気付いたらもう一度Aさんをベットドンしていた。





「え…ちょっ…え？」





『……』





やばい。





しちゃったはいいけど、どうすればいいのか分からない。





本能だけで動くっていう初めての経験を今してしまったがために…





『………俺…、』





もうこの際言ってしまおう。





言える時に言うしかないんだ。





今がタイミング。





『…俺、……あの……えっ…と…』





Aさんは、何も言わずに俺の次の言葉を待っている。





むしろ突っ込んでくれるか、突き飛ばしてほしい。





『…俺……、』





頑張れ俺、もう少し…！





『……俺…！……あーーーダメだ！！！』





「え……？」





『ごめん俺帰る！明日仕事だった！また明日！』





「え…あ、…うん…」





……バカだ。





Aさんの病室を出たあと、死ぬほど後悔した。





絶対今しかなかったのに。





告白くらい、男から出来なくてどうすんだよ…





『はぁ…』





3分に1回、幸せを逃がしながら家に帰った。


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