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布団の中から左腕を差し出すと


慎は細くて長い指を絡ませるように握って


慎「泣きそうな顔しないで。大丈夫?頑張れそう?」


眉を下げながら優しく聞いてくれる。



「........コクン」


慎なら大丈夫。そう頷くと


慎「よしっ!痛くないように頑張る」


大きな手で褒めるように頭を撫でた。




握られていた手は準備されていた防水シーツの上に乗せられて

離れて行った慎の手にはグローブが装着された。


駆血帯を手に持った慎が近づいてきて

私が横たわるベッドの傍に屈んだ。



慎「怖かったら見なくていいよ」


「やだ、見てない方が怖い」



刺す時に声掛けますよ、と言っても目を逸らさない

患者さんの気持ちが痛いほどよくわかる。



慎「俺も緊張してきた。失敗したらどうしよ」


「ちょっと待って、やだ」



思わず慎の顔を見ると


慎「ふふ、冗談だって。A体に力入りすぎ。リラックスしてて」


えくぼを作って、いたずらっ子な顔をしていた。



慎「腕触るよ〜。刺せるとこあるかなぁ.....」


グローブを付けた慎の指が

血管を這うように動いて刺入部位を探っている。




慎「アルコール塗るからちょっと冷たいよ」


お目当ての血管を見つけたみたいだ。


「刺す時言ってね.....」


これが乾いたらもう針が刺される。






慎「大丈夫?もう刺すよ。ちょっとだけ我慢してて」


そんな声と共にどんどんと針が近づいてきて



「あれ、痛く..ない」


慎「んふふ。腕上げたでしょ」


驚いて顔を上げると、したり顔で微笑んでいた。



「痛くなかった!」


慎「固定するからちょっと落ち着いて」



冷静にそんなこと言うもんだから

どんな顔をしているのかと覗き込めば


慎もニヤニヤしながら固定用のテープを貼っていた。

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Mei - 読んですぐ『好きなやつ!』ってなりました。ガッツリ医療系ではないのですが、私自身少し医療分野に関わる実習に行っていたこともあり、共感する部分も多くありました。これからも楽しみにしてます! (2019年11月8日 1時) (レス) id: 6c146f9d58 (このIDを非表示/違反報告)
To(プロフ) - すごく胸キュンでした…占ツクの中で一番好きな小説になりました!!いつきくん最高でした…。またこ の続編やファンタ(なっちゃん)のドクターシリーズも読みたいです。 (2019年11月8日 0時) (レス) id: 55722799bd (このIDを非表示/違反報告)
yuki - このお話めっちゃ好きです!!この3人のお話がもっとみたいです!続編希望です! (2019年10月26日 18時) (レス) id: 02ed079c97 (このIDを非表示/違反報告)
R(プロフ) - ドクターシリーズすごく好きです!続編見たいです! (2019年10月25日 18時) (レス) id: 3a12b44223 (このIDを非表示/違反報告)
桃の木m r i(プロフ) - 面白かったです!ずっと読みたいです!続編を望みます!主人公の体調不良多めで笑倒れたりとか?緊急事態になったりとか? (2019年10月25日 16時) (レス) id: ce5b46e04d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みやあ | 作成日時:2019年10月12日 14時

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