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景瑚｢…で？何でそんな元気そうなわけ？｣
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午前の仕事終わり、「この前のお礼だからね」なんてランチ代を請求してきた景瑚とランチ中。
周りの女子たちはいつも通り景瑚を見て騒いでいる。でも、そんな女子たちが私に嫉妬することはない。
それを前に景瑚に聞いたら｢AがAのままだからじゃないの？」と意味の分からないことを返された事がある。
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私はごめんごめん、と急いで口の中のものを飲み込む。
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景瑚｢どっからどう見てもおかしいでしょ。長年好きだった男に振られて、なんでそんなハキハキしてんの｣
｢…あー。確かに。何で私こんなハキハキラーメン大盛りなんか食べてんだろ｣
景瑚｢それ女が食べる量じゃない｣
｢うっさいわね！いいのよ私は！胃袋だけは他の女に負けないんだから！｣
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景瑚が手を叩いて大笑いする。
それから｢まあ｣と話を遮るように言葉を零した。
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景瑚｢Aは自分で気付いてないかもしれないけど｣
景瑚｢恋をしてる自分が好きだったんだよ｣
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持っていた箸の動きが止まる。
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景瑚｢本当の恋じゃなかったんだよ。｣
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…ぽかん、とする私。
そして何故か、景瑚が切なそうな顔をして私を見つめている。
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…恋に、恋していただけ。
言われてみればそうなのかもしれない。
自分の中で汐恩に恋をしているということは当たり前になっていて、それは気付いたら長年の恋へと変わっていて
、この恋は本物だと思っていた。
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…いや、本物だと信じたかった。
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だけど、その恋が終わった瞬間ホッとしている自分もいた。
解放されたとか、そういうことじゃないんだけどなんかこう…
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新しい人生に、踏み出せたような気がしたんだ。
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作者名：カスミ | 作成日時：2022年6月8日 23時
