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景瑚の肩に添えようと思っていた手が、動きを止めた。




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「…え?」


景瑚「なーに」






「…え、いや…」


景瑚「…っていうか、早くカフェオレ。」






「あ…うん…」


景瑚「何突っ立ってるの」


「わ、分かってるよ…行ってくる…」




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戸惑う様子も見せない景瑚の隣で、無駄に戸惑う私はカバンをデスクに置いて、財布だけを取り出して




小走りでオフィスを出た。




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えっと…自販機自販機…、と探しながらもオフィスから少し離れた所の壁にもたれかかって




上がっていた呼吸を整えるように深呼吸をする。


心臓に手を触れさせると、どくんどくんとリズムが乱れているのが分かった。




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「……っ、」











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景瑚『俺は…好きな子以外と一緒に帰りたいなんて思わない』




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つい、数時間前の。何気ない言葉。







景瑚の言葉と、今の景瑚の言葉。










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頭の中が混乱する。好きな子以外と帰りたいと思わないって…、それは、親友の私にも当てはまるもの?








っていうか、私景瑚と一緒に帰ったことくらい何回もあるよね…










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「…」




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いや、おかしいよ、うん、私がおかしい。







だって景瑚は私のそばにずっと居たし、今となっては腐れ縁みたいな仲だし。前話してた景瑚のタイプに私なんかまるで当てはまらないし。




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私ったらなに考えちゃってんだろ、と体制を戻して自販機に向かう。




えっと〜、カフェオレ…カフェオレ…っと…




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景瑚「遅い」


「うっ、わぁっ、!」




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気付けば、私が押そうとしたボタンの上にある景瑚の人差し指。




景瑚が私を覆うように立っていて、景瑚の右手は自販機に添えられて…




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え、なんか。なんか、まるで、これ。




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…壁ドン、みたい、じゃない?




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作者名:カスミ | 作成日時:2022年6月8日 23時

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