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今日の仕事は定時までに全て終えて、帰る支度も済ませて。
私はまだ隣に座ってパソコンの画面と戦っている様子の景瑚に｢あら〜？まだ終わってらっしゃらないのお兄さん〜？｣なんて肩を叩いてやろうと思ったら
そんな私の行動を見透かしたみたいに、景瑚の声が私の耳に入り込んできた。
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景瑚｢A、ちょっとだけ待っといて」
｢…はい？」
景瑚｢いやだから、待っといてって言ってるの」
｢…いやいやいや、なんで？」
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はぁ？と私は最近買ったばかりのお洒落なカバンを握りしめて景瑚の細い二の腕にグリグリと拳を押さえつける。
景瑚は｢俺意外と筋肉あるんだよ｣と一言言った。
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景瑚｢もうちょっとで終わるから…30分待ってくれたら全部片付けられそう」
｢いやいやいや、景瑚アンタ今なんつった？待ってくれたらって言ったよね？誰がアンタのこと待つなんて言った？誰も言ってないよ？」
景瑚｢ってことではい、そこ座る。俺のためにカフェラテ買ってくる、はい、すぐ動く」
｢はあああああ？！？！」
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なんだよこいつ！なんだよ！何言っちゃってんの本気で！！
私は今からいつも通り帰って、王子様に会えたらいいな…なんて空想を広げながら優雅なディナーを(ビールとつまみ)楽しもうと思ってたのにさ？
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くっそう！何こいつ？！とイライラを隠せないまま
景瑚に「待つわけないでしょ！」と耳元で叫ぼうとしたら。
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したら。
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景瑚｢……俺とは一緒に帰ってくれないの？」
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景瑚の瞳が、私の瞳を捕らえていた。
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作者名：カスミ | 作成日時：2022年6月8日 23時
