亮平君、この答え教えてください。【緑】

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亮平君の発音が綺麗で聞き入っていたら「こら」とデコピンされて、へ？と見上げると、ニヤニヤしてる亮平君がいた。


「集中しなさい」



言葉尻に軽く首を傾げる仕草、これ絶対癖だ。

クラスの女子が男子にしている仕草を亮平君がしていると思うと、なんか変な感じがするけど似合ってるから大丈夫だ。




「それじゃあ次はこれ解いてね」



教え方は上手だし、ゆったりとした雰囲気のおかげでいつしか緊張も解れて、気付けば問題を解くことに集中していた。


だから亮平君がさっきから無言なことにきづかなくて、ふとノートから顔を上げたら目の前にふわふわな黒髪の後頭部しか見えない。



あ、寝てる。



時間を見れば１４時過ぎで、勉強を初めて一時間弱か。

教える側は暇だよね。

それに亮平君はお休みなのにわざわざ来てくれたんだし。


少し勉強を中断して、音を立てないように気をつけて部屋に行きブランケットを持ってきて、そっと亮平君の肩にかける。


ちょっとだけ。隣にちょこんと座ってみたりして。


あ、意外と睫毛長いんだ？

鼻筋通ってて綺麗だし、眠ってると起きている時よりも幼く見える。




「……はあ、かっこいいなあ」




ため息が出るほどに。


一年前、亮平君を図書館で見掛けて、立てた参考書からチラリと覗いて見てた。


頬杖ついて長い指でページを捲る動作一つ一つがドキドキしてた。


クラスの男子にはこんな気持ち抱いた事すらないのに。

なんでこんなにもドキドキするんだろう。









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「……ん、あれ？ ヤバッ、俺 寝ちゃった？」



あれから３０分くらいした頃に勢いよく起きた亮平君。

肩から落ちかけたブランケットを押さえてる。



「少しだけですよ。３０分くらいかな」


ちょっとオマケして短くしておいた。

なんか申し訳無さそうにしてるから。




「ごめんね？ 勉強教えるとか言っててさー、もう」

「全然大丈夫！ 答え合わせしてくれたら嬉しいです」

「ん、じゃあ、見よっか」




ノートを亮平君が見てくれてる間に、時間も良いからお土産のケーキと珈琲の支度をしようとキッチンに行く。


ちょうど終わったタイミングで「おやつの時間にしていいですか」と聞けば、うーんと背伸びした亮平君が「手伝うよ」と、ケーキを運んでくれた。




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