『リアル』side:勇者 ページ39
俺は、それが一番許せない。
こうして考えている間にも授業は着々と進む。教員の声は右から左へと流れ、まるで頭に入らない。
ローリエちゃんの人生を、人間性を奪った。しかし、奴はその事を気にも掛けず今も悠々と過ごしている。
ああ、ああ。抜け出せない凱旋のように、思考がメビウスの輪を描く。
奴という人間の全てを否定してなお、きっとこの怒りは収まらないだろう。なんの確証もない自信がただただ垂れ流れる。
こうして、悶々とした授業を受けていた。
──そして事件は起こる。
『───────────』
地を揺らすような爆音が轟く。
「な、なんだ！？」
『緊急事態です！教室にいる生徒は直ちに教員の指示にしたがってくだ───』
途切れる放送。ざわめく教室。
そして学園を凌辱せんとする揺れがようやく収まり、教員の指示によって避難を始めた瞬間。
バシュン、という空気を切り裂く鋭い音と共に、目の前の男の胸が跳ねた。
数秒後、黒い制服から深紅の液体を携え──床に激しく全身を打ち付けた。
「────え？」
ゴロン、と男が仰向けになる。刹那の静寂が、妙に頭を揺する。
教室が静まった理由は明白だった。
「あ...アズリア、様？」
アズリアと呼ばれた青年の口からは紅く儚い鮮血が迸る。
アズリア、つまり、A・アズリアのこと、か？
その程度のことを理解するのに...俺は、何秒の時間を有しただろう？目の前に飛び込んできた光景は、それほどまでに衝撃的で───何よりも、
「アズリア様───────！！！」
悲痛な女生徒の叫びが教室に木霊する。
それに乗っかるように様々なざわめきが生まれ、教室はカオスへと変貌する。
目の前の殺すべき男が、あんなにも強大だと思わざるを経なかった男が。こんなにも呆気なく無様にやられた。
驚愕すべき事実だが...今の俺には少々情報量が多すぎ、処理しきれない。
「いくら魔法が上手くても、いくら彼の者の血を継ごうとも、心の臓を貫かれれば終わり。いやぁ、呆気ないものだね。人の命って」
唖然とし立ち尽くす俺達を余所に、そんな声が聞こえた。
歌うように紡がれたその言葉の主は見えず、反響した声だけが存在を証明している。
「...こんにちは、可哀想な生け贄達。冥府の門前で沢山かぁいそかぁいそしてあげるから、抵抗しないでね」
勿体ぶるように、一言。それは拒否権など存在しない一方的な通告。
そして虐殺が......始まった。
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haru(プロフ) - 面白いです！ (2021年6月30日 9時) (
レス) id: 6cf492dda0 (このIDを非表示/違反報告)
悠佳(プロフ) - Noraさん» 褒めていただき光栄です！いつも女の子しか描いていないので、うまく描けるかわからなかったのです〜（汗） (2018年11月22日 19時) (レス) id: 378e9b06a8 (このIDを非表示/違反報告)
Nora(プロフ) - 悠佳さん» 拝見させて頂きました。とても綺麗で、思わずみとれてしまう絵でした！本当にありがとうございます。これからも頑張ってください、応援しています。 (2018年11月22日 19時) (レス) id: e36332a8d8 (このIDを非表示/違反報告)
悠佳(プロフ) - こんにちは!イメ画出来たのですが、いかがでしょう？ (2018年11月22日 18時) (レス) id: 378e9b06a8 (このIDを非表示/違反報告)
Nora(プロフ) - ゆうりん＠アニメ厨さん» レスが遅くなり申し訳ありません。(忘れてたなんて言えない...)作品の方、読ませて頂きました。適格なアドバイス、ありがとうございます。これから、いっそう邁進いたしますので、応援のほどをよろしくお願いします。 (2018年8月21日 12時) (レス) id: e36332a8d8 (このIDを非表示/違反報告)
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