『魔法』side:勇者 ページ20
パタパタと騒がしく去っていく小さな後ろ姿を見つめて、思わず呟く。
「...なんだあれ。異世界風、
もしくは、ただの痴女だ。
まぁ、気を取り直して続きをするか。
先ずはテンプレから。
「火よ、地獄の釜より湧きい出し業火の炎よ。我が名は佐藤 文勇。勇者の名の元に、今ここで顕現せよ!」
......恥ずかしい。
魔法なんて出ないし、精神的にダメージを負っただけだ。
遠くの柱の影で姫様がクスクス笑っているのが、更に俺の心を抉る。
クソ...今に見ていろよ。
次だ次!
▼▲
「『
おいおい国王、どうしてくれるんだよ。早くも俺の計画に支障が出たよ。かなり致命的だよ。
家康でもホトトギス殺すレベルでヤヴァイよ。
あれから小一時間ほど、ひたすら詠唱していた。魔法よ顕現しろ、ってアホみたいに念じ続けながら。
「あらあらあら〜、随分と難航しているじゃないの?ゆ う し ゃ さ ま?」
後、失敗する度にイチイチ煽りが入るのが非常にうざい。
てか、いつの間に来たんだよお姫様。
「『漆黒の闇よ...我が身を滅ぼし、いざ、深淵の淵に誘われん』ってところかしら?」
思考を読むな。
しかもそれ、最初から三番目だぞ。そんな前からいたのか。
「そう言うお姫様は何か魔法を使えないのかよ」
「あら、もう敬語はいいの?」
意地悪く笑いながら俺に問いてくるお姫様。
殴りたい衝動を必死に抑え、こめかみをピクピクさせながら返す。
「お前こそ、最初の健気(?)な雰囲気はどこへ行ったんだ。メッキが剥がれているのは、お前の方じゃないのか?」
「私はいいのよ。こういうキャラで売ってるし」
メタいことを言うな。
そう言えば、気になってたことがあったんだ。
「なぁ、どうしてお前はあんな格好でベッドに寝てたんだ?カーディガンなんか着てさ」
するとお姫様は、ヤレヤレとジェスチャーしてから、
「貴方はこの国の勇者。そして私はこの国のお姫様。ここまでは分かるかしら?」
「まあ、それくらいは」
「でも──貴方は、勇者は。この国に何の思い入れもなければ、縁もない」
つらつらと、淡々と語る彼女はどこか機械的だった。
「それで?」
「...鈍いわね。つまり、離れる理由をなくそう──早い話、
既成事実を作ろうとしたのよ」
「何でそこ溜めたんだ」
一息でいいだろう一息で。
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haru(プロフ) - 面白いです! (2021年6月30日 9時) (レス) id: 6cf492dda0 (このIDを非表示/違反報告)
悠佳(プロフ) - Noraさん» 褒めていただき光栄です!いつも女の子しか描いていないので、うまく描けるかわからなかったのです〜(汗) (2018年11月22日 19時) (レス) id: 378e9b06a8 (このIDを非表示/違反報告)
Nora(プロフ) - 悠佳さん» 拝見させて頂きました。とても綺麗で、思わずみとれてしまう絵でした!本当にありがとうございます。これからも頑張ってください、応援しています。 (2018年11月22日 19時) (レス) id: e36332a8d8 (このIDを非表示/違反報告)
悠佳(プロフ) - こんにちは!イメ画出来たのですが、いかがでしょう? (2018年11月22日 18時) (レス) id: 378e9b06a8 (このIDを非表示/違反報告)
Nora(プロフ) - ゆうりん@アニメ厨さん» レスが遅くなり申し訳ありません。(忘れてたなんて言えない...)作品の方、読ませて頂きました。適格なアドバイス、ありがとうございます。これから、いっそう邁進いたしますので、応援のほどをよろしくお願いします。 (2018年8月21日 12時) (レス) id: e36332a8d8 (このIDを非表示/違反報告)
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