【銀魂】せーりゃくけっこん°

矛盾 ページ16

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沖田









｢(役人どもの命令で形式上の結婚…？巫山戯んじゃねェや)｣








随分バツが悪そうにしている旦那の口から語られたのは、大方そんな内容の事だった。聞けば結婚が決まった少し後に、偶然にもAに出会い、その場で聞く事が出来たらしい。

……今はそれは良い。それよりも。








｢(……ンなモン、良い訳ねェだろィ)｣








可能性のひとつとして考えていた事だったとは言え、実際に確かめたのでは訳が違う。Aが、幕府の阿呆共の陰謀にいつの間にか巻き込まれていたとは。


俺の心の中には、言い知れない感情が黒くモヤになって渦巻く。しかしその中で、ふと違和感を覚えた。

Aと神威は、形だけの結婚ーー所謂政略結婚の筈だ。…ならば何故、








｢(……彼奴は、神威は、助けに来た)｣








Aが浪士に拐かされたあの夜、奴は真っ先に戦地に飛び込んでAを救った。後から到着した俺も、他の人間も、皆知っている事だ。

だからこそ、近藤さんは奴に安心してAを任せられてのだろうし、多分土方もそうだ。








｢(何だってんでィ、彼奴ァ…)｣








聞いた話と、実際に俺の目で見た奴らの様子が、明らかに矛盾している。本来なら己の目で見たことを信じるべきなのかもしれないが、今回は訳が違う。


分からないことだらけで、先行きなどとても見えない。
しかし、俺にはこれ以上待つ事などできなかった。








｢(…京か。列車なら時間は掛かるが、帰ってくる前にギリギリ会えるな)｣








奴らを問いただすにしろ、訳を聞くにしろ、この江戸で行えば、少なからず土方や他の隊士の目に付く可能性がある。

変に噂建てば、潰されるのは俺達の方。だからこそ、知り合いの目に届かない、京でケリをつけてしまいたい。








｢…行くかィ｣

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