悪名高き者たち ページ9
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「……ん、…」
ゆっくりと重い瞼を開けた先には、灰色のコンクリの天井。
「(……そうだ、私…)」
まだぼんやりとしてちゃんと働かない頭を必死に回転させて、自分の状況を思い出した。あの時、最後に見たのはお京さんの顔。
ーー彼女は何処だろう?いや、そもそも此処は何処だ?
今度は周りを確認すべく、身体を起こそうとしたのだが。
「(……うごか、ない………どうして……?)」
感覚的に、手足を縛るものは何も無いし、動かせない筈がないのに。力を入れようと思っても、身体が言う事を聞いてくれなかった。
……辛うじて動くのは、首から上くらいか。しかし、それではどうする事も出来ない。
困惑と焦りに苛まれた時、ガチャ、と扉の開くような音がして。
「…お、目が覚めたみてェだな。真選組の女隊士サン」
ガラガラと耳障りの悪い声が、耳に届いた。声の方向に、何とか首だけを回すと、其処には見知った顔が。
「……貴方は…」
「おや、俺の事知ってんのか?有名になったモンだなァ……」
「とんだ悪名ですけれどね」
…男の顔は知っていた。今朝、土方さんに見せて貰った写真の中心に写っていた人物。ーーつまり、今度粛清する予定だった、攘夷浪士のボスだ。
皮肉のつもりで言ってやったことなのに、男は妙に嬉しそうにニヤリと薄ら笑いを浮かべる。
「…まァそう言うなよ。アンタも、俺たちの間じゃ、悪名高いぜ?」
「それは初耳です。興味がありますね。一体どんな風に言われているんでしょう?」
「教えてやろうか?それはな……」
と、その時、ちょうどその男の後ろ手にある扉が開いて。…中から、明るい色の着物の生地が覗く。
ーーそれも、私には見覚えがあるもので。
「(………まさか、)」
嫌な汗が、背筋を伝う。
完全に開いた扉から姿を現したのは…ーー
「とんだビッチ、だってな」
「……」
「……貴女、は………」
厳しい表情をした、お京さんだった。
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モンブラン - とても面白いです!これからも更新頑張ってください!応援しています。 (2018年12月27日 18時) (レス) id: e30eeb1aa9 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - limeさん» コメントありがとうございます。最高だなんてそう言って貰えてとても嬉しいです! (2018年12月20日 18時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
lime - 最高です…… (2018年12月19日 22時) (レス) id: d65845a82c (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 雨さん» おそくなってしまい、申し訳ありません!なんとか生還して参りました(笑)これからもよろしくお願いします! (2018年12月8日 14時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
雨(プロフ) - テスト頑張って下さい!更新楽しみにしてます! (2018年12月4日 22時) (レス) id: e3333da4ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ryosukehar1/
作成日時:2018年10月7日 16時