副長の判断 ページ5
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沖田
「…それで?Aの状態は?」
「詳しくはまだ分かりませんが、抵抗している様子が全く見られなかったので、恐らく例の新薬を使われたものだと」
「…チッ、そりゃ厄介だな……」
ーー例の新薬。
…というのは、最近天人が浪士どもに流しているらしい毒薬の事だ。解毒剤はまだ俺たちの手元には無い、厄介すぎる薬。
それをAが飲まされたというのか。一体どうやって……
「(……待てよ、…)」
Aは団子屋に行ってから行方不明になっており、団子屋にはAに恨みを持って居ても可笑しくない奴がいる。
…まさか。まさか。
俺が考えている間にも、土方の方は結論を出したらしかった。
「やむを得ねェな。…山崎、討ち入りを早める。他の奴らに伝えて回ってくれ。早急に準備しろってな」
「分かりました!」
指示を受け、山崎が消える。それから、土方は俺に向き直った。
「総悟、お前も討ち入りに参加しろ。隊の準備が出来次第、直ぐに向かわせる」
「土方さんはどうするんですかィ」
「…俺は、近藤さんと薬の解毒剤探しだ。後から合流する」
「俺も行きやす」
若しかすると、Aが毒を飲まされたのは俺のせいかもしれないのである。俺も探しに行きたいに決まっている。
「駄目だ」
しかし、土方は即座に却下した。納得など行く筈もなく、俺は食い下がる。
「理由はなんですかィ」
「………行くのが、Aの旦那の所だからだ。彼奴の旦那は宇宙を股にかける商人。なら、薬の出所や、解毒剤の在り処も知ってるかもしれねェ」
「…そりゃ、俺が行けない理由にはなりやせんぜ」
「なら聞くが、お前はAの旦那と相対して、終始私情を挟まずに居られる自信はあんのか?」
「……」
土方のかっ開いた鋭い眼光がこちらを向く。そうだ、この野郎は、一丁前に俺の気持ちを知っている。
それを考慮の上での判断だと、そういう事なのか。
奴の考えはあっている。正直、自信はない。無いのは無いが……何て、いけ好かない野郎だ。
「分かりやした。今回は、アンタの言う通りに動きまさァ」
「いや、いつも言う通りに動けよ」
まだゴチャゴチャ何か言っている土方に背を向けて、俺は歩き出した。
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モンブラン - とても面白いです!これからも更新頑張ってください!応援しています。 (2018年12月27日 18時) (レス) id: e30eeb1aa9 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - limeさん» コメントありがとうございます。最高だなんてそう言って貰えてとても嬉しいです! (2018年12月20日 18時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
lime - 最高です…… (2018年12月19日 22時) (レス) id: d65845a82c (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 雨さん» おそくなってしまい、申し訳ありません!なんとか生還して参りました(笑)これからもよろしくお願いします! (2018年12月8日 14時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
雨(プロフ) - テスト頑張って下さい!更新楽しみにしてます! (2018年12月4日 22時) (レス) id: e3333da4ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ryosukehar1/
作成日時:2018年10月7日 16時