心ではなく魂を ページ33
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「…息上がってっけど、走って来たのか?」
「…ええ、まあ……例の夫から逃げてまして」
もはや何も言わずとも、旦那は私の隣に腰掛けて、事情を聞く気満々だ。何故だかいつも、この人とは一番悩んでいる時に出会う気がする。
「は?夫と逃走中ごっこか!?リア充爆発しろよォォォ」
「んな訳無いでしょう!?“待て待てハニー!”、“うふふ、来てダーリン♡” なんて、この私がなると思います!?」
「思ってる訳ねェだろ!逃げてるっつーから聞いてみただけだっての!」
「その思考回路がトんでるんですよ貴方は!!」
しかし、この人はいつも何だかんだ道を明るく照らしてくれるのだ。訳の分からない事を言い出す旦那を尻目に、私は考えた。
こんなちゃらんぽらんだけど、数少ない事情を知る者の一人だし、意見は多い方がいい。
そう思って、私は口を開く。
「……もし、旦那が政略的に結婚してしまったとして、最初は淡白な関係だったのに……、その、途中で好きになってしまったら、どうしますか?」
「…要は、お前が旦那に惚れちまったんだな」
「……わざわざ確認しないで下さい」
もう籍を入れてしまっている夫婦間で改めて“旦那に惚れる”だなんて、おかしなものだ。私とて、そこはもう何度も思ったことだ。
「…それで、旦那ならどうするんですか」
これでも人生の先輩であるし、困っている人間を見捨てられないようなお人好しで、謎のカリスマ性もある。
何かしら、得るものがあるのではないかと期待したのだが。
「まあ俺なら……
「………」
予測の遥か斜め上、というよりそっくり180°回転してしまったような、よもや自主規制を入れなければならない位の解答に、私は言葉を失う。
そして黙って腰に刺した獲物に手を掛けて。
「……真昼間から何言ってんだアンタはァァァ!!!」
「!ちょ、おまっ!!刀振り回してんじゃねェェェ!斬れたらどうすんだ!!」
「そのまま斬られて心を入れ替えろ!!」
「心どころか魂変わっちゃうからね!?銀さんが悪かった、悪かったから許してェェェ!!!」
荒ぶる気持ちのまま、しばらく、私は顔面真っ青で逃げ惑う旦那を追い掛け回していた。
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モンブラン - とても面白いです!これからも更新頑張ってください!応援しています。 (2018年12月27日 18時) (レス) id: e30eeb1aa9 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - limeさん» コメントありがとうございます。最高だなんてそう言って貰えてとても嬉しいです! (2018年12月20日 18時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
lime - 最高です…… (2018年12月19日 22時) (レス) id: d65845a82c (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 雨さん» おそくなってしまい、申し訳ありません!なんとか生還して参りました(笑)これからもよろしくお願いします! (2018年12月8日 14時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
雨(プロフ) - テスト頑張って下さい!更新楽しみにしてます! (2018年12月4日 22時) (レス) id: e3333da4ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ryosukehar1/
作成日時:2018年10月7日 16時