解毒なんて二度と御免 ページ15
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「………か、む…い……」
多分、今の私の顔は今までのどの顔よりも酷い。気を抜けば、涙が溢れてしまいそうで、精一杯顔を顰めて気張る。……でも、一体どうやって。
そんな私を見下ろしていた神威は、目線を合わせるようにしゃがみ込んで。
「…はは、間抜けな顔」
僅かに顔を綻ばせて笑う。でも、蔑むとかバカにして居るというような感じではなくて、私も何も言えなかった。
「どうしてって思ってるでしょ。トシ、だっけ?あの人達がウチに来たんだよ。……“宇宙を飛び回る商人”の俺なら、毒のことを知ってるんじゃないかってね」
「あ……」
そう言えば、神威の仕事をそういう風に誤魔化したんだったか。幸か不幸か、そのお陰でこの男にこの話が行った訳だ。
「じゃあ、早く解毒……い゛っ………!」
ーー解毒をして下さい、とは言えなかった。
神威が、私の肩に手を添えて、首元に噛み付いたから。硬い歯が肌に食い込む痛みと、体から血の抜けていく感覚。どうやら血を抜かれているらしいけれど、理由を考える余裕は今の私には無い。
「(……体が、熱い)」
それは、痛むせいだけじゃない。今までのどんな時よりも、近い距離。時折掛かる、神威の吐息。緊張と恥ずかしさで頭がぐらぐらして、何も考えられなかった。
……その時、ピクリと指先が微かに動いて。
「(……体、楽になってきてる……?)」
その考えを証明する様に、手足に感覚が戻って来て、動かせるようになって来た。…それと同時に、神威が「…っは、」と首筋から離れて。
近くに私のであろう血を吐き出した。
「…なに、してんですか……」
私は何もしてないのに、息も絶え絶え。あの状況では、呼吸するのもままなら無かったのだ。本当に、何をしたんだ、この男は。
神威は悪びれる様子もなくぺろりと唇に残った血を舐め取る。
「お望み通り解毒したんだよ。その薬は首から下の神経を麻痺させるモノ。ってな訳で首から吸い出してやれば、一時的に復活出来るって事さ」
「何ですか…その意味の分からない解毒方法……」
「そんなの作った奴に聞いてよ。ま、解毒剤を使わなくていいのは楽で良いよね」
する方は楽かもしれないけど、される方は堪ったもんじゃない。……あんな、あんな解毒方法は、もう二度と御免だ。
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モンブラン - とても面白いです!これからも更新頑張ってください!応援しています。 (2018年12月27日 18時) (レス) id: e30eeb1aa9 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - limeさん» コメントありがとうございます。最高だなんてそう言って貰えてとても嬉しいです! (2018年12月20日 18時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
lime - 最高です…… (2018年12月19日 22時) (レス) id: d65845a82c (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 雨さん» おそくなってしまい、申し訳ありません!なんとか生還して参りました(笑)これからもよろしくお願いします! (2018年12月8日 14時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
雨(プロフ) - テスト頑張って下さい!更新楽しみにしてます! (2018年12月4日 22時) (レス) id: e3333da4ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ryosukehar1/
作成日時:2018年10月7日 16時