神威という男 ページ8
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そして現れた中性的で美しい顔立ちの男ーー神威を私は見据える。
桃色の髪に青い瞳。写真で見た通りだ。けれども、髪は写真よりずっと艶があるし、瞳はギラギラと輝いている。戦いの最中だったとはいえ、思ったより近い距離に、不覚にもどきんと胸が高鳴る。
そんな私の事はいざ知らず、神威は握った刀を私が見えるように軽く持ち上げ、口を開いた。
「途中までは良かったのに。ツメが甘いよ」
その口元には薄い笑みが宿っている。この男、今ので私を試したらしい。…流石に、“強い女”を所望するだけの事はある。
アレで私がクナイを避けずに死んだら、“弱い女”認定されて、取っ替えられていたのかもしれない。
神威は、「ーーまあ」と刀から手を離し、立ち上がる。そしてまた、ヘラリと胡散臭い笑みを浮かべた。
「地球産にしてはかなりやるみたいだし、毎日楽しくなりそうだ。来た甲斐があったよ」
「………そう」
そんな事を言われたって、相槌以外に返す言葉なんて無い。
…地球産。つまり私の
そんな風に考えていると、「あのさ」とまた声が掛かる。
「キミ、名前は?」
「はぁ?資料は……」
「あんまり興味無かったから捨てちゃった」
興味ない?捨てた?
そのワードに引っ掛かりを覚えて、私は首を傾げる。…確かあの役人の話では、この縁談は春雨からの持ち掛けだと言っていた筈だが。
「…では、何故来たんです?話を寄越したのはそちらからでしょう」
「上の命令だよ。大方、俺の事を疎んで、少しでも気を逸らす要素を作りたかったんだろうね」
「……」
神威の春雨での地位が強大になって来ているというのは、資料にちらりと書いてあった。「この程度で強さが失われるワケ無いのにね」と、また神威はへらりと笑う。
どうやらこの男は、『春雨の雷槍』などと呼ばれているらしいので、疎む者が居ても可笑しくは無いだろう。あと普通に笑い方が腹立たしい。
「それより、名前教えてよ。俺たち、一応ケッコンするんだからさ」
「……卯月、Aです」
言われるままに名乗ると、神威は「Aね。覚えとくよ」と、満足そうに頷いた。そこでふと湧き上がって来た疑問をぶつけるべく、私は口を開いた。
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黒猫 - いつも楽しく読ませてもらってます。続編楽しみです!頑張ってください。 (2018年10月6日 20時) (レス) id: 34ad78a799 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 猫ウサギさん» 初めまして、お返事大変遅くなってしまい、申し訳ないです。そう言っていただけで嬉しいです。更新頑張ります! (2018年9月20日 21時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
猫ウサギ - 葵さん» はじめまして、猫ウサギです。始めて読みましたが、とてもお上手で面白いです。政略結婚なんてありがた迷惑だけど、これはこれでありだと思います。更新頑張ってください。 (2018年9月9日 13時) (レス) id: d707ed59f7 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。私も終わってしまうのはとても悲しいです。 (2018年9月2日 16時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - めっちゃ面白かったです!!神威カッコいい!もう少しで原作が終わってしまうのが悲しい…。 (2018年9月2日 0時) (レス) id: 882a70ddb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ryosukehar1/
作成日時:2018年8月23日 16時