カオアワセ ページ7
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ーー日は開けて、早すぎる顔合わせ当日である。
恐らく役人が合わせたのだろうが、今日は非番の日であったので、土方さん達にまた下手な言い訳をせずに済んだ。
まあ非番と言えど、隊服を着込み、刀は勿論腰に差してはいる。タクシーを拾って行ったので、陽の心配もする必要は無かった。
そして、そのタクシーで屯所から二十分程の所に、これから私と神威という男が住む事になる、無駄に立派な邸宅が位置していた。
「……もう、居る」
これでも私も夜兎の端くれ。気配位なら、察知出来てしまう。…まぁ、それは向こうも同じ事だろうが。
日差しから逃げるように早足で玄関前まで辿り着くと、豪勢な扉を開く。
「…こっちか」
木製の床が軋む音を聞きながら、私は足を緩める事なく奥へと進むと、一層強い気配が感じられる部屋の前へと辿り着いた。
ーー意を決して、襖を開けた、瞬間。
「…!!」
目の前に迫った数本のクナイ。コンマ数秒は驚くも、即座にその場を跳びのき、其れを交わす。クナイは顔スレスレを通って行ったが、その行く末を気にしている場合では無い。
私はすぐに抜刀し、部屋へと飛び込む。クナイを飛ばして来たであろう影を相手に、薙ぎ払う様に刀を横に振るった。
「…くっ……」
…が、それは影が飛び上がった事で意図も簡単に交わされ、間髪入れずに、薄いグレーのフードを被ったその影が、拳を振り下ろしてくる。
それを殆ど反射神経だけで交わし、素早く相手の足を払い、首筋に刀を突き付けた。
「……はぁ、……これで終、わっ…!?」
勝負あった、と思った、その次の瞬間、突然腕が重くなって、見れば刀が掴まれていた。
血が流れるのも構わず、しっかりと掴まれ、刀ごと強く引かれてしまいーー次に目を開けた時には私の目の前には覆い被さった黒い影と、天井が広がっていた。
……その拍子に、相手のフードがはらりと落ちた。
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黒猫 - いつも楽しく読ませてもらってます。続編楽しみです!頑張ってください。 (2018年10月6日 20時) (レス) id: 34ad78a799 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 猫ウサギさん» 初めまして、お返事大変遅くなってしまい、申し訳ないです。そう言っていただけで嬉しいです。更新頑張ります! (2018年9月20日 21時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
猫ウサギ - 葵さん» はじめまして、猫ウサギです。始めて読みましたが、とてもお上手で面白いです。政略結婚なんてありがた迷惑だけど、これはこれでありだと思います。更新頑張ってください。 (2018年9月9日 13時) (レス) id: d707ed59f7 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。私も終わってしまうのはとても悲しいです。 (2018年9月2日 16時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - めっちゃ面白かったです!!神威カッコいい!もう少しで原作が終わってしまうのが悲しい…。 (2018年9月2日 0時) (レス) id: 882a70ddb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ryosukehar1/
作成日時:2018年8月23日 16時