居心地 ページ33
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その、次の日。変態兎が宇宙へ消えて、二日目。
真選組屯所にて、隊長の代わりに、書類仕事をしていると。
「…よォA。暇そうだな。ちと付き合え」
「どこをどう見たらそう思うんですか?眼科行った方が良いと思いますよ!!ってか行って下さい沖田隊長!!!」
私に仕事を押し付けている張本人である、ボンクラ総悟がやって来た。アイマスクが首に引っかかっている辺り、今の今まで寝ていたのであろう。
しかし、恨みのこもった私の視線を意にも介さず、総悟は言う。
「テメェの料理毒味してやったろィ。みたらし奢れ」
「今それ持ち出しますか!?貴方の仕事片付けてるのに!?」
「関係ねェな。俺は今みたらしが食いてェ」
「クッソ横暴!!」
ワガママドSクソ野郎なのは知っていたが、いつにも増して酷い。そもそも総悟に借りを作ったのが間違いだったのだ。
「みたらし、奢るだけですからね……」
今更ながら、私はそう気が付いたのだった。
***
「この団子屋さん、久し振りだな…なんか」
「テメェが来るの止めてただけだろィ」
「いや、だってさ……」
私だって好きで来なかった訳じゃない。ーーと、言うのも。
「いらっしゃいませ!…あ、沖田さん!いらしてたんですね!……それに、卯月さんも」
「あはは、お久しぶりです…」
店から出てきてパッと人当たりの良い笑みを浮かべる可愛らしい少女。名は、お京さん。最近この団子屋にバイトとして入ってきたらしい。
そして、理由は分からないが、彼女の私を見る目が嫌に冷たいのである。目どころか、態度も余所余所しいというか。
それをモヤモヤ考えてるうち、自然に足が遠のいてしまったのだ。
「A〜さっさと注文しろよ」
「人の金で偉そうにしないでくんない!?…えと、みたらし三つで」
「…畏まりました。どうぞ、ごゆっくり」
一礼してお京さんは奥の方へと入って行った。私が注文すると、声が低い…と言っても、そんな気がするというだけで、確証は無いけれど。
何だか、居心地悪いなぁ。だから来たくなかったのに。
江戸の町を眺めながら、私は目を細めた。
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黒猫 - いつも楽しく読ませてもらってます。続編楽しみです!頑張ってください。 (2018年10月6日 20時) (レス) id: 34ad78a799 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 猫ウサギさん» 初めまして、お返事大変遅くなってしまい、申し訳ないです。そう言っていただけで嬉しいです。更新頑張ります! (2018年9月20日 21時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
猫ウサギ - 葵さん» はじめまして、猫ウサギです。始めて読みましたが、とてもお上手で面白いです。政略結婚なんてありがた迷惑だけど、これはこれでありだと思います。更新頑張ってください。 (2018年9月9日 13時) (レス) id: d707ed59f7 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。私も終わってしまうのはとても悲しいです。 (2018年9月2日 16時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - めっちゃ面白かったです!!神威カッコいい!もう少しで原作が終わってしまうのが悲しい…。 (2018年9月2日 0時) (レス) id: 882a70ddb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ryosukehar1/
作成日時:2018年8月23日 16時