藪から棒 ページ27
・
「…ええと、ここで野菜を入れて…炒める……」
自宅にて。
先程練習したカレーを、再び作っていた。先程の分は、既に冷蔵庫の中。これを明日の朝も食べる事にした。
そんな折。体に急に重みがのし掛かった。
「…あり、料理は出来ないんじゃ無かったの?」
理由は言わずもがな、帰ってきたばかりの神威の所為である。気配を消すのも得意らしい、いつの間に帰ってきたのやら。
背後を取られてしまっているが、殺気は感じないので大丈夫だろう。
「近藤さんに言われて練習中です。先に言っときますけど、貴方に言われたからじゃありません。あと、料理中なので離れて貰えます?」
「またソレ?遥南って大概負けず嫌いだね」
そう言いつつもある程度は予想の範疇だったらしく、神威はスッと私から離れた。
「藪から棒に何ですか」
「急にじゃなくて、前から思ってたんだ。一緒に寝るのだって、煽って反応楽しみたかっただけだったんだけど、乗っかってきちゃうし」
「………じゃあ、今日から屋根で寝ます!!っつーか死ね!!」
まるで私がそういう事を求めていたみたいに聞こえて、考えるよりも先に手が出る。いつのまにか握っていた包丁が手から離れていた。
シュン、と高速で飛ぶ包丁を音もなく指で受け止めて、神威は笑う。
「別に寝たくないとは言ってないだろ。狭かったけど」
「私がデカいって言いたいんですか分かりました貴方のカレーは無しという事で!!」
「ノンブレス凄いけど、それは困るな」
全然困ってなさそうな顔でそう言うと、神威はシンクで受け止めた包丁を洗い、私に差し出した。
「ごめんって。謝るから。俺にも料理、食べさせてよ」
「…ね?」と困り顔で小首を傾げる神威。……あざとい。やっぱりこの男は総悟似だ。自分が如何に見られているかをよく分かっている。
そして多分、私がこういう顔に弱いというのも割れているのだろう。
「…じゃあ、黙ってあっちで待ってて下さい。変態兎」
と、私はほぼ意味の無い嫌味を言うくらいしか出来なかった。
871人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒猫 - いつも楽しく読ませてもらってます。続編楽しみです!頑張ってください。 (2018年10月6日 20時) (レス) id: 34ad78a799 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 猫ウサギさん» 初めまして、お返事大変遅くなってしまい、申し訳ないです。そう言っていただけで嬉しいです。更新頑張ります! (2018年9月20日 21時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
猫ウサギ - 葵さん» はじめまして、猫ウサギです。始めて読みましたが、とてもお上手で面白いです。政略結婚なんてありがた迷惑だけど、これはこれでありだと思います。更新頑張ってください。 (2018年9月9日 13時) (レス) id: d707ed59f7 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。私も終わってしまうのはとても悲しいです。 (2018年9月2日 16時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - めっちゃ面白かったです!!神威カッコいい!もう少しで原作が終わってしまうのが悲しい…。 (2018年9月2日 0時) (レス) id: 882a70ddb0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:陽奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ryosukehar1/
作成日時:2018年8月23日 16時