火 ページ26
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沖田
「…旦那とは、上手くいってんのかィ」
「え？ああ…まあ、それなりに？」
みたらしに釣られて、というよりはAに釣られて、と言った方が正しいだろうか。兎にも角にも俺は今、Aの料理が出来上がるのを待たされている訳だが。
「(…釈然としねェ)」
Aと結婚について話す度、気になる。この時期の女はもっと幸せそうな顔をするものじゃないんだろうか。
一度御蔵入りした筈のものが、疑念によって再び取り出されようとしていて、戸惑う。
「…とりあえず、カレーとサラダ盛り付けたんだけど…食べてくれる？」
そんな中、何も知らない当事者が、スパイスの香りがするカレーライスと、水々しいサラダを持って来た。
一度話は置いておいて、カレーを口に運ぶ。特に不可は無く、普通に美味しかった。
「…まァ、悪くねェな」
「素直にベリーベリー美味しいって言えないの」
「そこまで思ってねェからな」
「左様ですか！」
そっぽを向いて怒るAを見ると、いつも何とも言えない感覚が俺を襲う。
素直に褒めてやれたら今の関係は変わっていたのか、とか、夫は褒めてくれるような良い男なんだろうか、とか。
至極面倒で鬱陶しいモノだ。
「てめーの旦那、なんて奴でィ？」
「え？神威、だけど…総悟最近やけにその話多くない？」
「聞きたくもなるだろィ。格好の獲も…じゃねェ、祝うべき事だからな」
「聞こえてるから」
ーー神威、か。
息を吐くように偽りの言葉を並べながら、俺はその名を心の中で復唱した。見たことも無い、何も知らない、突然現れた男。
「近藤さんから聞いたぜ、今度屯所に来るんだってな」
「あ、うん…そういう話になってるよねェ…はは」
「俺にも会わせろィ」
「え、何で！？」
心底意外だと言うように、目を見開くA。どうせ、俺の奥底にある魂胆など、一ミリも気が付いていないだろう。
なら当然、神威とやらも俺の事なんざ眼中にない、…であるならば。
「(…ちと、見定めてやらァ)」
一度は消えかけた炎が、もう一度勢い良く燃え上がった気がした。
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黒猫 - いつも楽しく読ませてもらってます。続編楽しみです！頑張ってください。 (2018年10月6日 20時) (
レス) id: 34ad78a799 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 猫ウサギさん» 初めまして、お返事大変遅くなってしまい、申し訳ないです。そう言っていただけで嬉しいです。更新頑張ります！ (2018年9月20日 21時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
猫ウサギ - 葵さん» はじめまして、猫ウサギです。始めて読みましたが、とてもお上手で面白いです。政略結婚なんてありがた迷惑だけど、これはこれでありだと思います。更新頑張ってください。 (2018年9月9日 13時) (レス) id: d707ed59f7 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。私も終わってしまうのはとても悲しいです。 (2018年9月2日 16時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - めっちゃ面白かったです！！神威カッコいい！もう少しで原作が終わってしまうのが悲しい…。 (2018年9月2日 0時) (レス) id: 882a70ddb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽奈 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ryosukehar1/
作成日時：2018年8月23日 16時
