【銀魂】せーりゃくけっこん.

なんで私 ページ3

・







「…政略結婚、という事ですか。真選組に、春雨の商売に目を瞑れと？」

「そういう事ではない。何せ持ち掛けてきたのは彼方だ。ただの女では無く、腕の立つ女をとの事だった」





…確かに私は真選組の一番隊副隊長を務めてはいるが、それにしたって論理が無茶苦茶だ。そもそも、結婚相手に強い女を望むなんて、相手もどうかしている。

それに、見廻組にだって美人の副長が居るではないか。どうして私なんだ、本当。





「…では、この婚姻、どのような意味があるのですか。幕府が意味のない事に応じるとは思えませんが」

「…そんな事はどうでも良かろう。貴様には関係のない事だ」

「…左様ですか」





まあ聞かずとも、察しはついている。大方、役人どもの遊び場の資金援助とか、そんな所だろう。………私は、天人達に利用されてしまうのか。


黙り込んだ私に、役人はさらに言った。





「貴様にとっても悪い話ではあるまい。先方の希望により、一軒家も与えてやるし、生活費も出す。今よりももっと良い暮らしになるのだから」

「…それも、命令ですか」

「当然だ」





屯所にも居られなくなってしまうとは。近藤さん達に、何といえば良いのだろう。…そもそも、話しても良いのか。





「因みに、これは密約だ。婚姻の事自体は言っても構わんが、事情は公にしてはならん。もちろん、近藤達真選組の輩にもな」





そんな私の疑問に気が付いたのか、役人は付け足した。…これで、全ての退路は塞がれた。兎に角この場は了承する以外に道はない。





「とりあえず、下がって良いぞ。後ほどの事はこの資料に記してある。目を通しておけ」

「…御意」





反論なんて出来るはずもなく、差し出された紙束を受け取り、私は役人の屋敷を後にした。








＊＊







などと言うほぼ二話に渡る長い事情のせいで、私は頭を抱えさせられている。

私の願望が、この結婚のせいで立ち消えになりそうで、渡された資料を、シワになるくらいキツく握った。

通常運転兎さん→←生まれた性別間違えた

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す