とある銀髪 ページ17
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何となく、あのままあの家で居辛くて、早々に外へと出て来てしまった。自分の家の筈なのに、可笑しな話だ。
しかし、近藤さんにはお暇を貰ってしまっているので、屯所に行ったらまた怪訝な顔をされるだろう。その事態は成る可く避けたい。
ーー故に。
「(…ぶらぶらするしか無いんだよなァ……)」
お団子屋さんも、とある事情により、足が遠のいてしまっていて、こういう時に行く宛が無い。
仕方なく、適当に歩いて行き着いた公園のベンチに腰を下ろし、「ハァ」とため息を漏らした、その時。
「こんな所で道草食ってるたァ、サボりか?税金ドロボーのAちゃん」
「…万事屋の旦那!」
後ろから聞こえて来た胡散臭そうな声に振り返れば、見慣れた銀髪の気怠そうな男…万事屋の旦那が立っていた。
どうやら彼はいつも通り暇しているらしい。
「サボりじゃありません。今日は非番です」
「休みでもそれ、着てんの?」
旦那の視線の先を辿ると、自分の隊服に目が行く。確かに、休日にこれを着る事は殆ど無かった気がする。
「え……ああ、これは…そう、癖です!」
「…それとさっきのため息は、なんか関係してんのか?」
「……はい?」
今この人、なんて言った?私のため息がどうこうって……?
「イヤイヤイヤイヤ、そんなの全っ然関係無いですけど!!今日はヤケにツッコミますね!もう飲んだんですか!」
「まだ飲んでねェわ!」
食い気味に言い返した旦那は、少し考え込んで、「…そういうトコ」と私を指差した。
「どういう意味ですか」
「お前さん、普段あんま誤魔化したり話逸らしたりとかしねェだろ。わかりやすいし、ワザとらしんだよ」
そうして旦那は私の隣にどかりと偉そうに腰を下ろした。どうやら、私の悩み(仮)を聞く気満々らしい。
別にこんな政府なんかとは無関係そうな旦那になら話しても構わないかもしれないが、一つ問題がある。
「でも旦那、口軽いじゃないですか。ボロ雑巾くらい」
「バッカお前…せめてトイレットペーパーとかにしろよ!!」
「そっちですか!?ってかトイレットペーパーなら良いの!?」
「…ってのは置いといてよ」
脱線した話を戻す旦那に『振ってきたの旦那ですよね』と、言ってやりたかったが、話が進まないのでやめて置いた。
旦那が妙に真剣な顔をし始めたからである。
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黒猫 - いつも楽しく読ませてもらってます。続編楽しみです!頑張ってください。 (2018年10月6日 20時) (レス) id: 34ad78a799 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 猫ウサギさん» 初めまして、お返事大変遅くなってしまい、申し訳ないです。そう言っていただけで嬉しいです。更新頑張ります! (2018年9月20日 21時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
猫ウサギ - 葵さん» はじめまして、猫ウサギです。始めて読みましたが、とてもお上手で面白いです。政略結婚なんてありがた迷惑だけど、これはこれでありだと思います。更新頑張ってください。 (2018年9月9日 13時) (レス) id: d707ed59f7 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。私も終わってしまうのはとても悲しいです。 (2018年9月2日 16時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - めっちゃ面白かったです!!神威カッコいい!もう少しで原作が終わってしまうのが悲しい…。 (2018年9月2日 0時) (レス) id: 882a70ddb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ryosukehar1/
作成日時:2018年8月23日 16時