月夜のイケメン ページ14
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「Aちゃんの結婚を祝って!」
「「「カンパーイ!!!」」」
ーーで。あの後近藤さんが、『皆で祝賀会をやろう』と言い出して、急ピッチで準備を進めて、今に至る。
皆は私を祝うというよりは、思い切り騒げるのが楽しいのか、好き勝手にどんちゃん騒ぎ。堅苦しく祝われるよりは、有り難かった。
「私、少し色々と回ってきますね」
「ああ!Aちゃんも楽しんでな!」
そんな中、隣に座っていた近藤さんに声を掛けて、そっと広間を出る。
…とは言っても遠くに行く積もりは無くて、縁側に。少し風に当たりたかったのだ。
「……ふぅ」
「主役がこんな所で何やってんでィ」
「!…総悟」
ホッと一息ついた瞬間に、後ろから声が掛かって肩がびくりと跳ねる。総悟も縁側に出てきて、私の隣に腰を下ろした。
総悟は、私の方を見る訳でも無く、かと言って外に何かを求めていると言う訳でもない。
掴めない、遠い所に居るような瞳をしている。
「……テメェ」
「…?何?」
やがて、その沈黙を破った声音は、多少の迷いが感じられた。声を発しているのに、まるでそれを後悔しているような。
「……如何してあんなツラしてやがった」
「…え?」
だけど、しっかりと私に向けて放たれた疑問に、目を瞬かせてしまう。
質問の意味が、分からなかったのは、一瞬だけ。直ぐに、さっきの“報告”の事を指しているのだと分かった。
「如何して、って……不安だっただけ。皆に、結婚を受け止めて貰えるかどうか。其方こそ、如何してそんな事聞くの?」
気になるのは寧ろ其方。今、このタイミングで聞く理由が分からない。
真逆、あの時勝手に抱いていた総悟への期待を見抜かれたとは到底思え無いし、何の意図があってこんな質問をしたのだろう。
問われた総悟は、真っ直ぐに私を見据えて、口を開く。
「…Aの事が、気になるからに決まってんだろィ」
「…はい?」
何を言われたのか、まだ理解していないのに、総悟の真っ赤な瞳が私を射抜く。ムカつくくらい整った顔が、月夜に照らされて更に生える。
ドキリとしてしまったのは、ほんの一瞬の事で。
「…なんてな。冗談でィ」
ふ、と表情を崩していつものようにニヤリと笑った総悟は、ゆらりと立ち上がって、そのまま縁側から姿を消した。
「…揶揄われた?」
私がその事実に気が付いたのは、暫く経ってからの事である。
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黒猫 - いつも楽しく読ませてもらってます。続編楽しみです!頑張ってください。 (2018年10月6日 20時) (レス) id: 34ad78a799 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 猫ウサギさん» 初めまして、お返事大変遅くなってしまい、申し訳ないです。そう言っていただけで嬉しいです。更新頑張ります! (2018年9月20日 21時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
猫ウサギ - 葵さん» はじめまして、猫ウサギです。始めて読みましたが、とてもお上手で面白いです。政略結婚なんてありがた迷惑だけど、これはこれでありだと思います。更新頑張ってください。 (2018年9月9日 13時) (レス) id: d707ed59f7 (このIDを非表示/違反報告)
陽奈(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。私も終わってしまうのはとても悲しいです。 (2018年9月2日 16時) (レス) id: 9c5936b685 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - めっちゃ面白かったです!!神威カッコいい!もう少しで原作が終わってしまうのが悲しい…。 (2018年9月2日 0時) (レス) id: 882a70ddb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:陽奈 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ryosukehar1/
作成日時:2018年8月23日 16時