無理すんなよ、

高熱【Mizuiro様 リク】 ページ38

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裕翔サイド





｢ね、やま。素直に教えて？｣


｢なんのはなし？｣


｢さっき、撮影の時、すっごい熱かったよ。｣


｢…気のせいだよ。｣


｢そんな事ないよ。いつもより、すっごい熱かった。それに目がうるうるしてる。熱出てる顔。｣


｢大丈夫だって。大したことないから。｣


｢今のやま、レンズ越しに見る顔してる。｣


｢、、、｣


｢迷惑かけないようにするから。｣




違う、合間だけでも気を抜いて欲しいだけなのに。




｢ちょっとやまっ｣


｢飲み物買ってくる。｣




この後大ちゃんと薮くんが来て4人の混合を撮る前に、俺とのツーショットを先に撮り終えたんだけど。




じゃあもうちょい近づこうかーと言われるままに肩に腕を回したら、尋常じゃない熱を感じて。




驚いてやまを見ると、




｢裕翔ちゃんとレンズみなよー、｣




と、かわされてしまった。




だから、楽屋で改めて問い詰めたら、また逃げられて。




余りにも強情な態度に、やまを追いかける気にはならなくて。




体を伸ばしてみたり、意味無くスマホをいじったり、ゲームしたり。




顔を合わせたくないのもあるんだろうけど、なかなか帰って来なかったが、




｢おはよ。涼介、1人でなんもせず自販機の近くのベンチにいたから、連れてきたけど。｣


｢なに、喧嘩でもしたの？｣




薮くんと大ちゃんに連れられて、2人に隠れながら戻って来た姿は、、怒られるのを恐れる子供のよう。




あぁ、俺がいじけてる場合じゃない。




｢やま、ごめんね。上手く俺の気持ち伝えられてなかった。｣




目を逸らすいじけた子供を、宥めるように話す。




不思議そうに俺を見る大ちゃんと薮くん。




｢俺らといる時まで、気張らないで。頑張ってるのも、頑張りたいのも分かるから。｣


｢俺は、やまが頑張るのを助けたいだけだよ。｣




俺の誘導するままに抗うことなく座ったやま。


本当は止めるべきかもしれないけれど、仕事に穴を開けたくないという気持ちは、痛いほど分かるから。


しゃがんで、視線を合わせる。




｢熱、あるでしょ。4人の撮影まで少しでも休も。｣


｢ごめん。｣




さっきの態度か、迷惑掛けるという意味なのか、両方か。




でも、やまのごめんは、認める合図。




｢医務室から体温計貰ってくる。｣


｢移動車にブランケットあったはず…｣




大ちゃんと薮ちゃんの姿を見送って、再度やまに目を向けた。

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