♯ ページ8
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Aちゃんが鈍感なのは今に始まったことじゃない。中学の時だってそう。俺は割と最初の方から好きで周りにもバレているくらいだったのに、Aちゃんは告白するまで気づいてくれなかった。
「まあでも僕は何となく分かってたよ?」
「嘘!?」
「亮くん、明らかに態度が変わったからね」
「私もすぐ気づいたよ」
全身からハートが出てたもん、と萌ちゃんは苦笑いした。
「イケメン伊達男を落とすんだからAの天然の魔力ってすごいよなー」
「一瞬で雰囲気変わったからね」
そういえば同じようなことを俊光からも言われたな。
「あれだけ亮くんが好き好きアピールして全然気づかんAちゃんって、恋愛に疎いのかな」
「花男はよく見るんだけどなあ……」
「何の関係があるん?」
徹也と萌ちゃんがわちゃわちゃ始めたのをぼんやりと眺める。2人は友達の関係だけど、徹也が片想い中で中退してからもよく会っているらしい。徹也の積極的な所、尊敬する。
でも俺とAちゃんの距離は未だに離れたままだ。
どれだけ仲良くても、食事に出かけていても……
越えられない壁を超えられないでいる。
「俺ら飯食ってくるわ」
「は? 僕達帰れんやん」
「泊まってけよ!」
じゃあなー、と2人の背中を見送る。相変わらず破天荒なやつだ。ガチャン、とドアが閉まるとざわくんと取り残されてしまった。
「亮くんでも苦戦するんだね」
「……何で知っとるん」
「見てれば分かるよ」
昔からだ。Aちゃんが関わるとどうにも臆病になる。自分が告白したとして、振られて友達に戻れなくなってしまったら……、とか、嫌われてしまったら……とか。柄にもないことを考える。
今まで付き合ってきた彼女とは結果的に友達には戻れなかった。俺に告ってきた仲の良かった子とも疎遠になっている。
俺はAちゃんとずっと仲良くしていたい。高校から成人式で再会するまで会えなかったから、同じような状況をもう2度と引き起こしたくない。
「だから友達のままでいいって思っちゃうのか」
「うん」
「僕もその気持ちは分かるかも」
せっかく掴んだ手を離したくない。そんな気持ちが強い。
「俺って本当に弱いよね。こんな男にAちゃんは惚れ直してくれん……」
「それは分からんよ?」
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みゆし(プロフ) - 最近読ませて頂いてます!パスコードを教えて欲しいです🙇♀️これからも素敵なお話楽しみにしてます (2月11日 11時) (レス) @page40 id: b2f1dffa53 (このIDを非表示/違反報告)
rioyamakawa(プロフ) - この小説の更新待っています! (2019年12月14日 1時) (レス) id: faed70be53 (このIDを非表示/違反報告)
あおやなぎ(プロフ) - rioyamakawaさん» ありがとうございます(;;) これからも頑張ります〜! (2019年7月23日 10時) (レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
rioyamakawa(プロフ) - この小説占ツクの中で1番好きです!!これからも更新楽しみにしています!!! (2019年7月17日 11時) (レス) id: faed70be53 (このIDを非表示/違反報告)
あおやなぎ(プロフ) - たむさん» ありがとうございます(;;) これからも頑張ります!!! (2019年6月30日 23時) (レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年6月27日 22時