ep.15 ページ15
日本の月城は懐石料理が主だし、コースしか頼めない。
ドイツにあるツキシロはフランス料理がメインだ。
要は暖簾分けで名前を頂いている。
『私も、ツキシロが好き』
「んー♡俺ら気が合うな♡」
カイザーは私の肩を寄せてふわふわとした声で楽しそうだ。
なんか大きな犬みたいで可愛い。
『アレが、TSUKISHIROが私の理想系なの。
あれは父様のお店なの。』
「ふーん日本のは?」
『京都にあるのは宗家代々のもので、今は当主の父様のものではあるけど総料理人は去年から変わってるわ』
そうかー、じゃお前がゆくゆくはどっちも継ぐんだな
と言ったカイザーはワインに口付けた。
そんな彼に私は首をブンブンと振った。
「なんで?兄貴でもいんの?」
『ううん、違うんだけど』
「じゃあ別に第一継承権のある奴がいんのか」
『それは私しかいないよ...けど』
「なんだよ、クソ焦らすな」
『私、多分父様の血を引いてない』
少し困った顔の私にカイザーは口を開けたままだ。
彼の手からワインをひったくるとそのまま一気に飲み干した。うん、フルボディのいいワインだ。
「多分ってどー言う意味」
『直接聞けないの』
彼は私の手からグラスを取るとそれを机の上に置いた。
何となくその動作をまだ追っていたら、私の左肩に手をかけて体重を徐々にかける。そのまま視界が反転して目の前に広がるカイザーの顔と天井でベッドに押し倒されたのだと
脳が理解した。
『カイザー...』
「それ以上、何も言うな」
見えた顔はなぜか辛そうで「もうそれ以上は言わなくていい」ともう一度そう呟いたのだ。
ああ、彼はモテるだろうな。
そりゃ、3億も稼ぐスーパーカリスマなんだからモテないわけがないんだけど。そうじゃなくて。
『優しいんだね、意外だわ』
「お前にだけな」
『え?』
「お前のこと、別に絵心には聞いてねぇよ。
今日お前の飯食って勘付いてカマかけたんだ。」
なんだ、私は嵌められたのか。
『なんでもいいよ、
月城のこと愛してくれてる人がいて嬉しい』
「...そうか」
たとえ私が、何の繋がりもなかったとしても、
父様に認められなくても、月城を追い出されたとしても
それは揺るがない事実だった。
いつか立派な料理人になって
父様に認められたい。こんどこそ、私の料理を一口だけでも口に入れてほしい。...それだけ。
それだけなんだ。
「...泣くなA」
『泣いてないもん』
目の前で揺れた白青色と唇に感じた温もり
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きゅんた(プロフ) - たるとさん» 初コメありがとうございます〜!誤字ってますね〜!指摘ありがとうございます♡主人公総受けなんでまだまだ関係拗れていったらいいなあ〜!!! (2023年1月30日 2時) (レス) @page17 id: 7cf9bc3205 (このIDを非表示/違反報告)
たると(プロフ) - 初コメ失礼します!!いつも楽しく読ませてもらってます!!玲王との展開も楽しみですしカイザーとの関係最高すぎます〜!!あと少し気になってしまったのですがティラピスじゃなくてピラティスな気がします!!細かくてすみません汗 (2023年1月30日 1時) (レス) @page17 id: 33239378f6 (このIDを非表示/違反報告)
きゅんた(プロフ) - まるさん» 報告ありがとうございます〜!外しました! (2023年1月28日 13時) (レス) id: 7cf9bc3205 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - オリ‘フラ立ってますよ! (2023年1月28日 7時) (レス) @page1 id: d16c4af477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きゅんた | 作成日時:2023年1月21日 22時