【H×H】たまゆらの温もり (ページ8)

今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:770 hit

8 ページ8

「オレがやってんのはお使いゲー。あのジイさんにコレに書かれたタイトルや主題の本を持ってくるように頼まれたんだけど、知っての通りどこになにが置いてあるのかはほとんどわからない。んで、紙は3枚。上から下までびっちり」

ほい。彼が持っていた紙がひらりと宙を舞う。空気抵抗を受けて右往左往するそれを一度指先で掠めてからなんとか両手で引っつかむ。

「その紙に書いてあるのはタイトルと大体の位置がわかってるやつ。まだ半分くらい残ってるからよろしく」

折り目を伸ばして広げてみると確かに、まっさらの紙は上から下までほとんど隙間なく文字で埋めつくされていた。文字はロクに読めないが書かれている文字が予めわかっているならいくらかマシだろう。同じ記号が書かれたものを探すだけだ。

既に老人の元へ歩を進めていた少年が、くるっと振り返る。

「言っとくけど貸しだからな！！」

とだけ声を上げて、さっさと歩いていってしまった。喉まで届いていたありがとうの言葉はすーっと引っ込んで、代わりに控えめな「どうも……」が誰の耳にも入ることなくこぼれ落ちた。

・．━━━━━━━━ † ━━━━━━━━．・

しばらく更新止まる予感