すっぴん ページ8
あなたにだけ、私のすべてを見せてあげる。
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「うー…つかれたっ‼️もうむりっ‼️」
珍しくパソコンの画面とにらめっこしていた愛星がついに音をあげたようだ。
作業用に着けていたらしい眼鏡を机の上に置き、大の字で床に体を投げ出した。
ふと目を移せば時計の針はとっくに日付をまたいでいる時間だった。
「寝るなら布団行かねーと、疲れ取れねーぞ。」
そのまま閉じかけている瞳を阻止するように愛星の頬をぺちぺちと叩いてやる。
「んー…わかってるよぉ。お化粧落としてお風呂も入らなきゃ…」
もごもごとまごつかない口取りで返事をしているがその瞳が開く様子は一向に見られない。
「肌荒れるぞー。」
なんて脅しをかけるもあと数分もすれば、こいつの意識は本当に夢の世界へと飛ばされてしまいそうなほど、気だるい空気を醸し出していた。
「しるくー…お化粧だけ落としてほしい…」
甘えた両手が伸びてきて俺を求めている。
「鏡のとこにね、メイク落としのシートがあるからそれで顔拭いてくれるだけでいいの。」
目は閉じられたまま口だけはどうにか動かしているようだ。
「今日だけだかんな。」
なんて、実際愛星に頼まれちまえば毎日でもその労力はいとわないだろうと思う。
「お返しに明日の朝ミルクティー作ってあげるね。」
暖房のききすぎた部屋だとメイク落としの冷たさが心地いいのか気持ち良さそうに口許を緩める愛星。
眠りの世界に一歩足を踏み入れたのか少しずつ口数が少なくなっていく。
「愛星?」
起きているのか寝ているのか確認するために名前を呼ぶも返ってきたのは小さな寝息。
「すっぴんさらして、油断しすぎだろ。」
それが信頼されている証だとはわかっていても、ここまで来るとむしろ男として意識されていないのではないだろうかと落胆してしまう。
「俺、お前のこと好きなんだけど。」
俺の声が耳に届いた時、お前はどんな顔すんだろうな。
化粧を落としてすっかり幼くなったその顔を両手で優しく包み込めば、その全てが愛しくてたまらない。
「いつかぜってー、俺のもんにすっから覚悟しとけよ。」
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目が覚めると布団に包まれていた。
いや、正確に言うとシルクの腕?
きっと眠ってしまった私を寝室まで運んでくれてそのまま一緒に眠ったのだろう。
彼の寝顔を見つめて私ももう一度目を閉じるのであった。
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愛星(プロフ) - 星空夢月(ダホマサモトシル)さん» リクエストありがとうございます!少しお時間いただきますが、ぜひ書かせて頂きたいと思いますのでしばらくお待ち頂ければ幸いです。 (2019年5月6日 17時) (レス) id: b124745788 (このIDを非表示/違反報告)
星空夢月(ダホマサモトシル)(プロフ) - リクエストです。シルクと彼女が入れ替わるって話お願いできますか? (2019年5月5日 20時) (レス) id: 335f3bf1dc (このIDを非表示/違反報告)
愛星(プロフ) - koyumaさん» コメントありがとうございます!悶える…最高の褒め言葉です!ゆっくり更新ではありますが、これからも2人を幸せにしていきたいと思っているので応援よろしくお願いします。 (2019年4月16日 22時) (レス) id: 31293b8be6 (このIDを非表示/違反報告)
koyuma(プロフ) - 一気に読ませていただきました!悶えました!!!好きの気持ちの揺れ動く様子がすごく伝わってきました。これからのお話も楽しみにしています。 (2019年4月16日 19時) (レス) id: 96592c7e36 (このIDを非表示/違反報告)
愛星(プロフ) - きぬたみさん» コメントありがとうございます!私自身もシルクさんのこと大好きなので、いろんな方々と「好き」を共有できることが嬉しいです。ゆっくり更新ではありますが、これからも頑張っていくので引き続き応援よろしくお願いします! (2019年3月30日 18時) (レス) id: 31293b8be6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:愛星 | 作成日時:2018年12月26日 5時