忘れ物のスマホ 1 ページ18
「迷子って何?」
チャン ミンが事の説明をするとユノの顔色が変わった。
チャ「あ、でもさっき教えたから大丈夫かもしれないし」
ユ「僕、見てくる」
マネ「俺が行くよ、人目もあるし・・」
ユノの行動を予測して秒で話しかけたチャン ミンとマネージャーだったが
ユノの動きの方が速かった。
チャ「・・・行っちゃいましたね」
マネ「(苦笑)」
マネ「・・俺も行って来るよ」
そして誰もいなくなった控室。
チャ「・・・過保護だな、だいぶ」
━Aが迷子になった話を聞いて心配でたまらなくなったユノ。
(そうだよね、こんな場所に来るの初めてだよね。迷っちゃうよね)
速足で近場のトイレの前まで来てみたけど、中を覗く訳にもいかず。
周りを見渡しながら暫く待っても出て来る気配はない。
「あ、電話してみれば!」
(スマホ、スマホ・・・)
「あ! 楽屋だ」
(ああ、俺って・・・)
「ユノ」
呼ばれて振り返るとマネージャー。
「いた?」
「いないです」
「迷子だと楽屋とは反対の方へ行ってるかも?」
マネージャーの言葉に従い足を進めた。
━一方のAは
(恥ずかしくて勢いで出て来ちゃったけど、どうやって戻ろう?
いつまでも個室に閉じこもってもいられないし・・)
グーに握り締めた膝の上の両手をみつめる。
(過剰反応だったかな? 失礼だった? え、でも、恥ずかしくて・・、どうしよう)
しかし、ずっと閉じ籠っている訳にもいかず、個室を出ようと立ち上がる。
(ん?)
背中側になっていた物置きスペースの上、手帳の様な物があることに気づいた。
「忘れ物?」
手に取って見るとそれは手帳型ケースに入ったスマホだった。
たくさんの飾りが付いていて派手な感じの物。
(どうしよう? これ、どこに届ければいいのかな?)
(受付行けばいいかな? あ、でももう閉まってるかな?)
Aは洗面所を出て周りをキョロキョロと伺った。
━マネージャーとユノが進んだ先でウロウロしているAをみつけた。
「Aちゃん」
Aが振り返る。
「どうしたの? 迷子になっちゃった?」
「いえ、あの、これ忘れ物みたいで、どこに届ければいいかと探してて」
「忘れ物?」
「はい、トイレにあったんです」
スマホを差し出したA。
「とりあえず、それ僕が警備に預けて来ます」
と、マネージャー。
「すみません、お願いします」
マネージャーはスマホを受け取ると警備室へと向かった。
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作者名:カホル | 作成日時:2021年6月3日 16時