雨と目薬が始まりでした。tkin etc.

アジフライと唐揚げ 1 ページ3

…


「伊野尾くーん。昼飯行かねぇ？」

「ほぇ？んぁぁー」


声をかけた先にいたのは
頬をパンパンに膨らませた
俺が今いちばん気になる人。


「なんだー、もう食べちゃってたのかぁ〜」

「んんっくっ！いや、これはおやつだからっ」

「へ？え？」


俺の手首を掴んで

今日は アジフライが安い日なんだから！

そう喚きながら些か早歩きで外に出た。



この人、サンドイッチ食べてなかったっけ？
結構ボリューミーなやつ。


この華奢な体のどこにおさまんだろ？って思いながら、運ばれてきたアジフライを大口開けて美味しそーに頬張る彼を眺めていると…


あんだよ？
とまた睨まれた。


すーぐ噛み付いてくんだよねー。
俺には。
なんでかなぁ？
猫が威嚇してるみたいで可愛いけど(笑)


「いやいや、美味しそーに食べるなぁ〜と思ってさぁ」

「だって、おいしーんだもん！」

だもん！って……どこの女子高生だよ？
あなた、もうアラサーに突入しようとしてるよね？
でも、なんでかなぁ〜。
それが似合っちゃうって、不思議だねぇ。

またボーッと見つめちゃってたら

それ、食わねぇーの？
と、大事に取っておいた最後の唐揚げを横取りされた。


「んあぁぁーーっ！残しておいたのにー」

「さっさと食べねぇほうがわりいんだよー！」

減らず口をたたきながらニコニコと俺の唐揚げを咀嚼していく伊野尾くん。

まぁいっか。伊野尾くんが笑ってくれてるほうが楽しいし。


「ちゃーん。それはかわいそーだよー」
有岡くんの助け舟。


会社を出ようとしたら外回りから帰ってきた有岡くんに遭遇したから、三人で食べに来てたんだ。
忘れてた(笑)


「わりぃな。高木。ほら、俺のをやる」

って、絶対嫌いなものをくれたでしょ？
梅干しと漬け物の小皿。

「えー、これと唐揚げって比例しないー」

「なんだよ！せっかく大ちゃんがくれるって言ってんのに！人の好意は素直に受けろ！」

「唐揚げ盗った伊野尾くんに言われたくないー」

ふんっ！！いつまでも取っとくからいけねぇんだ
俺は悪くなーい！！
って、口をとんがらせてそっぽ向いてる。

なんだかなー。小学生と話してるみたい(笑)
可愛いな。


「あ、そーいや、ちゃん！涼介は？元気？」


ん？リョウスケ？？
だれ？



…

2→←2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す