【男主】涙でにじむ約束は Ⅱ (ページ8)

今日:16 hit、昨日:10 hit、合計:295,372 hit

自分に厳しい人だからページ8

向井side

向井「迷惑なんかかけられてないですよ。
むしろこっちが足引っ張ってばっかりで……」

A「みんなのこと、
まとめてくれたんでしょ？」

向井「え……」

なんで知ってるんやろう。

A「さっき翔太から聞いてさ。
俺が稽古場にいないときに、みんなに
話してくれてたって」

メンバーと滝沢くんにしか
伝えてなさそうやったから、
Aくんのバックにつかせてもらう人にだけ
こっそり伝えてたつもりやったけど
ばれてたらしい。

向井「すみません、盗み聞きみたいなことして」

A「ううん、こっちこそ気使わせてごめん。
けど、本当助かった。
さすが関西引っ張ってる人だなって。
見直したよ」

向井「そんな……」

みんなが頑張ったのは俺の力じゃなくて、
Aくんの力に少しでもなりたいって
みんなが思ったからで。

そう伝えようとしたとき、
Aくんが俺の手に何かを握らせた。

触れたAくんの手は、まだはっきりと
熱を持ってた。

今この瞬間やって、しんどいはずやのに
そんな顔、全くしてへんかった。

A「大したものじゃないけど、
今日のお礼」

渡されたのは、手のひらに収まるくらいの
小瓶。

中は液体で満たされてた。

A「俺が普段使ってる香水。
何本か予備持ってて、
それはまだ開けてないから」

向井「いいんですか？」

A「うん、好みに合うかは分からないけど」

向井「めっちゃ嬉しいです！
ありがとうございます」

俺がそう言ったら、
Aくんは優しく微笑んでくれた。