【男主】涙でにじむ約束は Ⅱ (ページ21)

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逃げたいページ21

Aside

最悪だ。

気がつけば感じた冷たい床の温度と
周りの騒がしい音。

このままだとダメだって分かってはいたけど、
体が自分のものじゃないみたいに
動かなかった。

それでも時間が経って
徐々に感覚が戻ってきた。

これ以上迷惑をかけるわけには
いかないと思って、なんとか体を起こした。

暑くもないのに流れる冷たい汗が
気分の悪さに拍車をかけてきている気がした。

思い通りにならない自分が悔しくて、
迷惑をかけてしまっていることが申し訳なくて、
めめの心配そうな視線が苦しくて、
ここから逃げ出してしまいたい衝動に駆られる。

医師「さすがに今すぐに帰るっていうのは
危ないからやめた方がいいと思うよ。
もう少し落ち着くまで休んで、
それから病院に行くか、家で様子を見るかに
してください」

少し厳しめな声だった。

そのことが、自分の体の悪さを
表されているみたいだった。

スタッフ「ベッドのある部屋、使えるように
キープしておいたんで良かったらそこ
使ってください」

カメラマン「お、たまにはいい仕事するじゃん」

スタッフ「たまにってなんすか、失礼な」

今日一緒に撮影をしてくれたカメラマンさんと
スタッフさんは、前にも何度か仕事を
一緒にしたことがある人だった。

俺が気にしなくていいように、
明るくしてくれてるのが分かる。

ほかにも仕事があるはずなのに、
俺のせいで時間を取らせてしまったのが
本当に申し訳なかった。