愛されてる ページ22
目黒side
A「ご迷惑おかけして、
本当にすみませんでした」
Aくんはまだふらつきが残ってるのに、
カメラマンさんとスタッフさんに向かって
頭を下げた。
スタッフ「気にしないでくださいよ！
たまにはそういう日もありますって」
カメラマン「そうそう、こいつなんか
毎日迷惑かけてんだから」
スタッフ「ちょ、毎日は言い過ぎでしょ！」
２人の掛け合いに、Aくんは
微かに笑って見せた。
その顔を見て、２人がほっとしたような
表情を浮かべたことに気がついた。
この人たちも、
本気でAくんを心配してたんだ。
本当にいろんな人に愛されてるんだなって
こんなタイミングで思ってしまった。
カメラマン「ま、忙しいのは分かるけど
あんまり無理しちゃダメだよ？」
A「本当にすみませんでした」
スタッフ「早く体調戻して、また一緒に
仕事してくださいね！
雪村さんいてると、この人機嫌いいんで
僕としても助かってるんで」
カメラマン「余計なこと言わなくていいんだよ」
スタッフさんがカメラマンさんに
頭をはたかれていた。
２人の明るさがありがたかった。
スタッフさんが案内してくれたのは仮眠室だった。
だれも来ない時間だから
ゆっくりしていっていいですよ。
お大事に。
そう言ってスタッフさんは出て行った。
Aくんはベッドに横になって
腕で目を覆った。
A「……本当にごめん」
目黒「謝らなくていいよ。
いい人たちだね、今の２人」
A「前に何度か仕事させてもらった」
目黒「そうなんだ」
沈黙が流れた。
Aくんは、ぎゅっと唇を噛み締めていた。
体調の悪さを堪えているのか、
それとも申し訳なさに耐えているのか、
俺には分からなかった。
少し、１人にしてあげた方がいいのかもしれない。
そんな気がした。
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作者名：くらげ
| 作成日時：2021年10月17日 6時
