【男主】涙でにじむ約束は (ページ9)

今日:31 hit、昨日:47 hit、合計:393,552 hit

不調ページ9

Aside

女性「雪村さん、スタジオ、
暑いですか？」

A「え？」

雑誌の撮影中、メイクさんにそんなことを
聞かれた。

A「いえ、大丈夫です。
すみません、僕結構汗かいちゃうタイプで」

女性「いえいえ、全然大丈夫ですよ」

メイクさんはもう慣れてるのか、
嫌な顔一つせずに手早く汗を拭いて
メイクを直してくれた。

とっさに体質のせいにしたけど
今日は嫌な汗が止まらなかった。

照明なんて慣れてるはずなのに、
今日は明るさが辛かった。

目がチカチカするせいか
視点がうまく定まらなくてくらくらする。

それに加えて、照明の人工的な暑さが
頭痛と気分の悪さを加速させてくる。

調子悪いな、今日。

自覚はあったけど、
休むほどじゃない。

それに、

カメラマン「オッケーオッケー、
いい感じだよ！
次ちょっと色気のある感じ出せる？」

カメラマンさんの反応を見ると
仕事自体はうまくできているみたいだった。

滞りなく撮影は終了。

スタッフさんたちにお礼を言った後、
次の仕事が待っている事務所に
直接向かうことにした。

A「はぁ……」

集合時間までまだ時間は結構あって
楽屋には誰もいなかった。

楽屋の隅にあるソファーに
身体を投げ出した。

雑誌の撮影中と比べると、
かなり身体は楽になっていたけれど
まだ頭痛とだるさが残っていた。

誰かが来るまで、少し休んでおこう。

そう考えながら、目を閉じた。