帰り道_izw ページ7
!同世代
!izwさんと一緒に帰ります。
(スパークル//RAボDWクIMンPSチ)
「て。」
『?』
「手、」
『あっ。あー、はいはい。』
二回目は、しっかりこっちを見て言われた。
寒くなったよね、幸せから間延びしたわたしの声が響く。絡んだ指先と、手のひらの温もりが暖かい。
「明日は?」
『んー?普通に仕事だよ〜。』
ご機嫌に倣って足を放り出して歩く。それに合わせるわけでもなく、大好きな彼の、拓司の歩みが遅くなった。
『どうしたの。』
「……何でもない。」
どうして本当、こんなに可愛いんだろう。まるで恋愛が初めてであるかのように。わたしのことを全て知りたがるかのように。もう少し、あと少しってわたしとの時間を長引かせる彼が可愛くて仕方がない。
どこも行かないよ。そう思ってそう言おうとしたその瞬間、指先の力がぎゅ、っと強まる。
「遠回りしね?…まだこんな時間だし。この時間くらいしか、ゆっくり出来ねえじゃん。」
『…!……うん、そうしよ。遠回りしよ。』
素直に口に出すのは勇気のいる事だったろう。愛してる人相手と言えど、プライドが高くて子供っぽい彼だから。だから口籠って、踏み出すためにわたしの手を握って、歩みを遅くして、なんてそんな可愛らしい事をしていたんだろう。
断る理由なんかない。
緩む口元を抑えきれず、静かに寄り添った。
その瞬間、恋人である彼もわたしに凭れかかる。
「!」
『!なにー、もー。ねえー。』
「にやにやしてんじゃねえよ。」
拓司もでしょ。その言葉のほんの1秒後、戯れるように唇が重なった。
(お気に入り登録ありがとうございます)
.
23人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りょ。 | 作成日時:2019年10月12日 3時