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!同世代
!izwさん視点
(三葉のテーマ/RAボDWクIMンPSチ)
いつ死ぬか分からないし、いつ何が起こるか分からない。それは俺だってAだって、QuizKnockのメンバーにだって。誰にでも言えることだ。
『つっかれた〜…でも昨日よりマシかな。』
俺の気を知ってか知らないでか呑気に話すこの恋人が出来てからというもの、俺はそういう事を本気で考える機会が増えたと思う。
(らしくないのは十二分に承知している)
『振り回してばっかりでごめんなさいねー。』
朗らかに、無邪気に、にまにまと。胸の奥の何かを擽るような笑顔が俺を捉えた。
失いたくないだとか、大切にしたいだとか、運命だとか必然だとか死だとか生だとか。そういうものを知りたいと思うのはおかしい事なんだろうか。
尊くて大切であればあるほど、知識や雑学では処理しきれなくて太刀打ち出来ないものがあると知ってしまった。
指先に、力が篭る。
Aがこっちを見た。
『どうしたの。』
「………何でもない。」
察しの良い彼女のことだ。全部お見通しなんだろう。俺の気持ちも考えも。いつもならそれに甘えているが何だか今日は、それじゃいけない気がして。
彼女の口が開く前に、制するように言葉を吐き出した。
「遠回りしね?」
自分でも、随分情けなくて洒落っ気のない言葉だったと思う。でも構わない。だって目を大きく見開いてからまた、ふにゃりと笑う彼女が見えたのだから。
吸い込まれるように肩を、体を寄せ合った。ぶつかって、お互いの笑う声が響く。
夜とは都合の良い生き物だ。何でも吸い込んでくれる。
俺も、Aも。そしてこの切なさや光景をも。全て。
『拓司もにやにやしてる〜。』
「あっはっは、何のことやら〜。」
くだらないと思う。我ながら本当に、在り来たりで変哲のない光景だと思う。
でもこれが幸せというもので、人として生きるというものだと知った。
明日あいつらに、ギャグだと分かる程のキメ顔で「最近気付いたが今の俺は最強に死角がない、何故なら最強の知識と愛した人がいるからだ。」と言い切ってやろう。
「くさいセリフだな。」と笑われるのもAとなら悪くない。
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作者名:りょ。 | 作成日時:2019年10月12日 3時