39話 ※表示変更しました ページ41
乱歩side
歩斗が居なくなった。
信じられないの一言だ。
彼は僕の元から居なくなったことなんて、1度もなかったのに。
先刻かかってきた電話で賢治くん達は無事に助け出せたことが判った。
一つの可能性として、歩斗は賢治くん達と一緒に居るのではないかと考えたが、其の考えは外れていた。
駄目だ___
何時もの様に考えることが出来ない。
何時もの様に目に真実が写らない。
只僕の隣から温もりが消えただけなのに‥‥
其れ程までに歩斗の存在は僕にとって大きいものだったと云うことに今気付いた。
歩斗…
早く僕の隣に戻ってきてよっ…
「乱歩さん、歩斗の方は‥‥」
「国木田‥‥可笑しいんだ僕、判らないんだ」
ヨコハマの地図を片手に俯く。
「今すぐ歩斗を助け出したいのに‥‥
歩斗は僕が居ないと、僕も歩斗が居ないと駄目なんだ‥‥!」
「乱歩さん‥‥」
珍しく取り乱してしまった。
すると、頭に少しの重みが加わった。
国木田が撫でているわけないから、誰だろう…
「乱歩」
「っ‥‥福沢、さん」
大きくて暖かくて僕の大好きな手。
「乱歩、お前は何故考えるのを止めようとしている。
乱歩の歩斗への想いは其の程度のものなのか?」
「‥‥判らないんだ、何も。
如何すればいいか判らないんだっ‥‥!」
「若し、乱歩が捕まり助けに行かなければならない状況になった時、歩斗は立ち止まると思うか?」
「え‥‥僕が‥‥」
頭に歩斗の顔が浮かぶ。
彼の魅力の一つである綺麗な笑顔が。
そして、思った。
其の状況で歩斗が立ち止まる筈が無い。
"乱歩さんのことは、僕の全ての力を使い果たしてでも助けに行きます!"
昔、2人でそんな話をしたのを思い出す。
其の言葉を思い出し、顔を上げる。
「僕‥‥行ってくる、歩斗を助けに‥‥!」
僕の其の言葉を聞き、社長は柔らかく微笑み、もう1度頭を撫でてくれた。
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作者名:星夢 | 作成日時:2017年1月7日 0時