36話 ページ38
天宮「いきなり背後に立つなんて趣味の悪い…」
太宰「歩斗くんの驚いた顔を見たくてねぇ」
天宮「もっと趣味悪い…」
太宰「うふふ…で、歩斗くんは何してたの?」
天宮「見ての通りです」
太宰「乱歩さんのお使い?」
天宮「はい。
で、太宰さんは何を?」
太宰「見たら判らないかな?」
天宮「また川ですか…」
太宰「ご明察!」
天宮「探偵社がピンチな時に…」
太宰「また死に損ねた。
歩斗くんの異能で一思いにやってもらいたいよ」
天宮「…何処で其れを?」
太宰さんの発言により1音下がった声が出た。
太宰「…ふふ。
調べたのだよ、色々とね」
この人なら朝飯前か。
太宰「それでギルドが歩斗くんを狙う意味も判った」
天宮「あの力はもう使ってない」
太宰「彼等に必要になったんじゃない?」
天宮「もう使いたくないですっ…」
太宰「前にも云ったけど、歩斗くんはまだ自分の異能力を制御出来ていない」
天宮「はい…」
太宰「長く使ってなかったのもあるけど、歩斗くん自身の力もまだ弱いからね」
天宮「何時制御不能になって暴走しても可笑しくないと?」
太宰「其の時の為に私が居るのだよ」
頭を撫でられる。
太宰「歩斗くんが暴走しないようにね」
太宰さんから告げられた話が深く重く心にのしかかる。
俯くことしか出来ない僕に太宰さんがまた声をかける。
太宰「歩斗くんは心が強いのだから、其れを武器にすればいい」
天宮「…心?」
太宰「大切なものを守りたいと思う心」
天宮「そんなモノ僕にあるんですか?」
太宰「こんな時に嘘をつくとでも思うのかい?
想いは何時か自分の力になるのだよ」
天宮「想いが力に…」
太宰「歩斗くんの想いは迚も綺麗なモノだ。
其れを力にし給え。君になら出来る」
太宰さんが僕の過去を何処まで知っているか判らないが、太宰さんの言葉に間違いは無いだろう。
天宮「太宰さんのことを信じます」
太宰「ああ、信じ給え!
さあ、速く帰ろう。乱歩さんが待ってるよ?」
天宮「そうだった!急ぎましょう!!」
乱歩さんへの駄菓子が入った袋を握り締め、探偵社へ急いだ。
これから何があろうと起ころうと、僕の思いは変わらない。
___探偵社を守る
これが僕に出来る最大のことだ。
自分に出来ることをしよう。
そうしたら今よりは強くなれるかな?
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作者名:星夢 | 作成日時:2017年1月7日 0時