29話 ページ31
敦くんが乱歩さんの居る場所迄走った。
天宮｢ふう…｣
｢ひ、人だ！！｣
｢人がかかってるぞ！｣
天宮｢ん？人？｣
川に網を張って証拠探ししてるのか。
川でかかる人なんて大体は死体だよなぁ。
生きてるなら彼の人くらい？
現場に居る全員が巻き上げられる網に注目している。
あ、あの砂色の外套は…
逆さ宙吊り太宰さんが川から出てきた。
矢っ張り彼の人か…
彼の人はまた川で心中かよ…
と、思っていたら太宰さんはご婦人の遺体を見て嘆き悲しんでいた。
私と心中してくれたら良かったのにーなんて聞こえる。
不謹慎な…
そろそろ乱歩さんの推理も始まると思ったら乱歩さんは近くの刑事さんに無茶振り。
乱歩さぁーん…はやく終わらせて帰りましょうよ〜
がっくりと頭垂れていると頭上から、
太宰｢歩斗くんじゃないか！大丈夫かい？｣
天宮｢ああ、お気になさらずに〜｣
太宰｢顔色が悪いよ？｣
天宮｢これでも良くなって来た方です｣
太宰さんを見上げながら話す。
此方は座った状態で見上げると云う辛い体制なんだから頼むから座ってくれ太宰さん…！
天宮｢…無駄に背が高いんだから｣
太宰｢無駄とは酷いなぁ｣
天宮｢あ、聞こえてました？｣
苦笑しながらも隣に座ってくれた。
天宮｢ああ…頸が痛かった｣
太宰｢見上げてくる歩斗くんも可愛かったよ？｣
天宮｢うるせーですよ、太宰さん｣
太宰｢最近歩斗くん、私に対する態度が酷いよ…｣
天宮｢だって太宰さん、僕にも心中しようって云ってくるじゃないですか｣
太宰｢うふふ、だって歩斗くん美しいんだもの｣
天宮｢男の人に云われても嬉しくないです…｣
太宰｢遺伝かな？｣
天宮｢遺伝…｣
つまり両親から受け継いだと云うことか…
両親…父親…母親…
駄目だ…頭痛くなるっ…
太宰｢歩斗くん？｣
天宮｢うっ…太宰さん…｣
太宰｢大丈夫かい？ゆっくり深呼吸するんだ｣
息がしやすい様に背中を撫でてくれる太宰さん。
今日は多いなぁ…
規則的に優しく撫でてくれたお陰で息がしやすくなった。
ふと太宰さんを見るとあまり見ない焦った様な顔をしていた。
珍しい太宰さんの一面を見れたからか呼吸は普通に出来るように戻っていた。
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作者名：星夢 | 作成日時：2017年1月7日 0時
