純愛メランコリー【Ryo】 (ページ3)

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初恋の人は兄ちゃんの彼女。

優しくて可愛くて、大好きだった。

当然兄ちゃんの彼女だから初恋が実るはずもなく、兄ちゃんと別れて疎遠になって終止符を打たれた。

名前はなんだったっけ、

『……て、涼くん私のこと覚えてない？』

「へ、」

「俺が高校生の時に付き合ってたA、涼ちゃんよく遊んでもらってたじゃん」

「あ、あの？Aちゃん？！」

そうだ、Aちゃんだ。

せっかく初恋の人と再会できたと思えば、兄ちゃんの彼女として再び紹介される。

神様は意地悪だ。

「涼ちゃん、Aは俺の彼女なんだからぜぇーったい手出しちゃだめだよ」

『龍也くん何言ってんの？涼くんからしたら私だいぶオバサンだよ』

そんなこと、と言おうとしたけれど、少し低くなった兄ちゃんの声に言葉が詰まって何も言えなかった。

……兄ちゃんは怒るとめちゃくちゃ怖い、だって高校生の時の兄ちゃんただのヤンキーだったもん。

『改めて、よろしくね』

「うん、Aちゃんよろしく」

初恋の人(※ただし兄ちゃんの彼女)とひとつ屋根の下、願ったり叶ったりなシチュエーション。

今日から兄ちゃんと俺とAちゃんの、不思議な３人暮らしが始まった。

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