sweet glacier～甘い氷河～6 (ページ26)

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パンドラの箱ーRWーページ26

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え？何だろ？サプライズ？
とりあえず封筒を開けてみるけど。

「…………。」

全然読めない。
え？これ僕宛じゃないの？

ならマズイかなって手紙を戻そうとした時。
見えたんだ…封筒の中に入っていたもうひとつの物が。

「何これ…」

それは指輪で。
すごくシンプルなデザインが逆にリアルというか。

急に嫌な予感に襲われて。
こうなると手紙の内容も気になって仕方ないけど。
なんせ読めない。

箱の中にはまだ封筒が入っていて。
しかも2通。どっちも今見たやつよりはるかに古ぼけてる。

「…………。」

どうせ読めないし。
そう思って開けた古い封筒にはやっぱり手紙…と、また指輪。
でもこれ、おもちゃだよね？

手紙を開いてみると全部ひらがなで。
一応読むだけなら読めるんだ。

区切る場所とかがイマイチ分からないけど。
「ゆうきくんへ」ってタイトルと、最後に書かれたAの名前は理解できて。

そして…「けっこん」の文字。

どうか区切るところの間違いであってほしいけど。

もうひとつの古い封筒を開けるとやっぱりこれもまた手紙で。

今度はAが宛名になって。
そのかわり「ゆうきより」って書いてある。

そしてまた「けっこん」の文字。

どうか、どうか僕の取り越し苦労であってほしいけれど。

「けっこん」「おとうさん」「おかあさん」…。
3つとも区切るところの間違いなんて…きっとない。

きっと小さい時に交換した手紙なのは分かったけど…

何でこれを持ってきたの？
わざわざこっちに持ってくるようなものなの？
思い出として実家に置いておけばいいんじゃないの？

そして僕がまだ読めないその、おそらく最新の手紙には何が書いてあるの？
何で指輪が入ってるの？

開けていいって言った袋にこれを入れておいた意味は何？

僕にとっては決して開けてはいけないパンドラの箱だった気しかしないよ。

Aがお風呂から上がる音がして。
代わりにドライヤーの音が聞こえ始める。

「一旦…見なかっ、たフリ…か？」

Aの意図がわからなくて。
僕はとりあえずそのパンドラの箱を戻して。
その上にさらにお土産を戻して。

1番気に入ったキリン柄のお菓子だけ開けたよ、ってフリをしてAを待つけど。

さっきまでいちゃいちゃすることしか頭になかったのに。
今ではいちゃいちゃすることなんて微塵も考えられなくなって。

あの日の悪夢が一気に蘇った。