sweet glacier～甘い氷河～6 (ページ17)

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その日が来るのならーRWーページ17

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たとえそれが、Aの嫌いな「嘘」だとしても。

その夢が…悪夢が。
悪夢だと分かってもまだ完全には消え去らない不安を、強く吹き飛ばすように。

君は僕の彼女だよ、と。
僕は君の彼氏だよ、と。

まるで不変の真理かのようにそう告げると、Aは一瞬言葉を失ったけれど。

A「あ…だ、だよね？」

「何？僕に振られる夢なんて。実はそう願ってる…とかじゃないでしょーね笑」

まさか！なんて慌てるAを想像したんだけど。
こんな冗談でさえ妙に真っ正面から拾っちゃう子だってことを忘れてた。

A「…そんなこと…」

「あるわけないよねー。そーだよねー。Aは僕のこと大好きだもんねー笑」

A「…ぅん…。」

鼻先でくぐもる声が聞こえて。

「泣かないの笑」

また強がるのかと思いきや…
小さな嗚咽が聞こえるから、途端に胸が苦しくなって。

A「…もうやだ…泣」

「…何が…？」

A「もう帰る…。」

「ん？今どこなの？」

夢見てたって言ったのに…どこにいるんだよ。
なんて的外れ。

A「リョウクのとこ帰る…泣」

え。何それ。
何でそんな…可愛いこと言うのさ。

「うん。待ってるからね。」

待ってるから。
早く僕のところに帰っておいで。

A「…どこにも行かないで。」

子供みたいに。
駄々をこねるようにそんなことを言うから。
嬉しいんだけど…不安に、というか心配になる。

「うん、どこにも行かないけど…どうした？そんなに悲しかった？」

A「…そりゃ…。」

「僕に振られて？」

A「…振られてない…泣」

うん、まあね。
でもまた言葉尻が震えるA。

…どうしたもんかな。
そんなAが堪らなく愛しい。

もうこれは僕の中で1番厄介な感情と言ってもいいほどに。

「振ってなんかやんない。」

だから、A。
もしもその日が来るのなら…Aから僕を振ってね。

「…いや、振られてもやんない笑」

A「うん？」

「ううん笑」

A「…振るわけない。」

そうやって言い切ってくれるなら。
僕たちにその日が来ることはないから。

「う～ん、相変わらず僕にゾッコンだねぇ笑」

A「…………。」

「おい、なぜ黙る笑」

A「…リョウクは夢、大丈夫？」

話題を変えたってことは照れてるってこと。
それはもう泣いてないってことだけど。

「僕の夢は…」

はぁ…言いたくない。