sweet glacier～甘い氷河～6 (ページ15)

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…と言えない理由ページ15

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「…はぁ…っ、え…？」

ここは…どこだろう。
何で私は…泣いてるんだろう。

「あ…。」

私の部屋だ…実家の。

「え…？リョウク…？」

…ああ、違う。実家だ。いるわけない。

じゃあつまり今のは…

「…夢？」

うん、夢だ…夢だよ…。

「待って…夢、だよね？記憶？待って、分かんない。」

…違う、落ち着け…。

まずはどこから思い出せばいいんだっけ。
確か…お隣でテレビを見てて…。
それで、何かの話をしてて…。

どうしよう。思い出せない。
アルコールは口にしなかったはずなのに。

何か…強い衝撃で記憶がなくなってしまったんだろうか。
強い衝撃で…

「違う。違う違う。寝ぼけてる。」

そうだよ。寝ぼけてるだけ。
確かめる必要もないじゃない…ただの夢なんだから。

そう思う頭に心が勝って。

朝5時前なんてありえない時間にまたリョウクの番号をタップしてる。

1コール、2コール、3コール…

「出て…お願い。」

終話ボタンが押せない私は、相当焦ってる。

だけど。
繋がったその先から聞こえたのは私よりももっと焦る声で。

RW「A！？」

「あ…リョウク…。」

よく考えたら、こんな時間に鳴り止まない電話に焦っただけかもしれなくて。
見切り発車でかけたはいいけれど、何て話せばいいかも分からないまま。

RW「…A…。」

「ご、ごめん…こんな時間に…。寝てた？よね…。」

RW「少しだけ。でも起こしてくれて良かった…。」

元日でもこんな時間に起きなきゃいけないんだ…。

「あ、仕事？じゃあ…」

RW「違う！切らないで！仕事じゃないから。」

「え？…うん。」

仕事じゃないなら…何か別の用事かな？
いや、でも「切らないで」って言ったよね…？

「時間…大丈夫？」

RW「え？あぁ…そういう意味じゃなくて。」

「…うん？」

電話の向こうからふぅ、とため息が聞こえてまた焦るけれど。
リョウクが放ったのは思いがけない言葉。

RW「…僕今、すっごい嫌な夢見てたみたい。」

「えっ…。」

RW「いや…うん、夢…なはず。」

何にせよ私が悪夢から覚ましてあげられたなら良かったと思うけれど。

RW「…ねぇ、A。変なこと聞くけどさ…」

「うん…？」

RW「僕たち…今付き合ってるよね？」

何わけのわからないことを。
…と言えない理由が確かにあって。

だってそれこそが、私がこうして電話をした理由だから。