【文スト】その幼女、実は______

実験 ページ32

？？？said

「何故連れ帰ってこなかった！」

そう言って叩かれる

後ろに突き飛ばされ壁にぶつかる

左耳のピアスが音を立てて外れる

こんなのは日常茶飯事だった

私達にとって

彼女が来る前まではずっと私に手を出していた目の前の男

だが、あの子が来てからは私ではなく全部に期待と結果、暴力は彼方に行った

最初はほっとした

だが、見ていられなくて庇ったら、もっと見ていられなくなった

彼女は私を庇ったから、感情を無理に押し殺していた

それくらい知っていた

でも……それが判っていても助けれない己の無力さ

目の前に男を睨む事しか出来ない

「なんだ」

「そんなに、そんなに私に期待していないなら殺せばいいでしょう……」

そう言って、立ち上がる

「何故私達をあの施設から引き取って教育した！？」

そう言えば男は黙って私を見て

「……所詮、その程度か」

そう言って鼻で笑った

何故笑われた？

違う、私は笑われたいんじゃないの

貴方は……何故何時も

「貴方は何故何時も私達を人として扱わないの」

そう言えば男は面白い物を見たかのように大笑いする

「何を言っている、お前達はただの“失敗作の機械“だろ？」

私はその言葉を聞いて男を睨む

「人でないものを人とどう扱うんだ？馬鹿らしい」

そう言って私の背を向ける

「……それは、貴方の空想でしょう……」

私は知っている

彼のAへの過度な期待の意味

「良い加減……現実を見てくださいよ」

そう言って彼の背中を私はただ見ていた

男の座っている椅子の前にある机の上の写真には男と金髪でオッドアイの少女が桜の下で満面の笑みを見せていた

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