曲がり角ハプニング ページ9
Aside
"いーなぁ。オオタニのホームランボール貰えるなんて。Aツキ良すぎ!あたしだって毎日一生懸命働いてるのに!”
完全に出来上がってるな…。まじでごめんと謝ってくれる彼氏のDavidに引きずられるジェシカを見ながら私は肩をすくめた。球場で約束通り大谷君に目いっぱいの元気を貰って興奮冷めやらぬまま彼女と球場近くのレストランで早めのディナーを食べた。あの夢みたいな時間の余韻に浸りたいのにジェシカはもう一軒と言って聞かず、結局ダウンタウンにあるバーで少しお酒を入れた。そしたらこの様。もう外は暗いし、この時間アメリカで一人で駅まで歩くのは良くない気もする。
「あーあ。私にも彼氏がいたらなあ。」
何だか口に出したら余計に虚しくなって首を振る。せっかく論文も良いところまで仕上がってるし、たまにはタクシーでも使おうかな、とタクシーのアプリを眺めながら街を歩いた。
でも、やっぱりながらスマホは危険らしい。
ドンッ!!!
角を曲がったところで体に強い衝撃が走って、すぐに誰かにぶつかったんだと分かった。受け身ををとる間もなく体は地面に向かって倒れていく。あ、もうだめだ、と衝撃に備えて目をきつく閉じた。
『…っ大丈夫ですか!』
慌てたような聞き覚えのある声。いつまでも来ない衝撃。誰かに背中を支えられている感覚。私は目を開けた。
「…あ、」
眼前には同じように驚いて固まっている彼の顔があった。お姫様抱っこみたいに支えられている体が急激に熱くなるのがわかった。
『っごめん、ケガはない?』
「あ、いえ!こちらこそすみません。携帯なんて見てたから…!」
えええ!こんなところに大谷翔平?!さっきまであの大きな球場で歓声を浴びていた?!
『今日、来てくれたの気づいたよ。ありがとね、嬉しかった。今から帰るとこ?』
「はい、って!腕!離してください、私の体が大切な腕を壊しちゃいます!」
『え、あはは!大丈夫、俺そんなやわじゃないよ』
はっ、失礼しました。と大慌てでバタバタする私を大谷さんは楽しそうに見ていた。ますますテンパってしまって私は大谷さんの腕からするりと抜けて距離をとった。
「あの、今日元気もらいました!私、頑張るので大谷さんも頑張ってください!では!」
もう、2度とこうやって面と向かって会うこともないんだろうな。少し寂しく思いながら私は彼に背を向けた。でも、
『待って!送っていくから、もう少し話さない?』
大谷さんはずるい人だ。
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みび - 続きが気になります! (9月8日 23時) (レス) id: 4e8c4ab155 (このIDを非表示/違反報告)
るう(プロフ) - miya381117さん» コメントありがとうございます!頑張ります! (6月4日 16時) (レス) @page30 id: dfa5704a4e (このIDを非表示/違反報告)
miya381117(プロフ) - 続きが気になりすぎて眠れない^ ^翔平行けー! (6月1日 21時) (レス) @page29 id: e8bd8eef5b (このIDを非表示/違反報告)
るう(プロフ) - 桐山めぐさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてすごくうれしいです!!投稿頑張ります! (6月1日 17時) (レス) @page29 id: dfa5704a4e (このIDを非表示/違反報告)
桐山めぐ(プロフ) - こんにちは!このお話めちゃくちゃ面白いです♪大谷さん 主人公ちゃんに連絡出来ない日々を耐えてやっと会えると思ったのに、、主人公ちゃんに何もありませんように祈ります(T_T)続きも楽しみにしてます!応援してます♪♪ (6月1日 17時) (レス) @page29 id: bb3023c008 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るう | 作成日時:2023年5月26日 15時