5回コールド ページ27
Aside
『もっと知りたいから、かな。Aのこと。』
そう言ってはにかむ翔平さんから思わず目をそらした。
授業を一緒に受け始めた翔平さんは野球以外のことを考えられる時間が効果的だったのか、どんどん元気になっていった。怪我の治りも予想以上に順調みたいで、来週からは下半身絶対安静が解けて普通に歩いたりリハビリをしたり出来るようになるかもしれないそうだ。きっとあと二週間もすれば翔平さんは完全にプロ野球選手に戻るんだろうな。そうしたらもう、
『ここ、難しいね』といって隣の席で微笑む翔平さんも
授業終わりに一緒にご飯を食べながらくだらない事で笑いあうことも
送迎の車内で眠る翔平さんの寝顔を見る事も
全部思い出になってしまうのだ。
近づきすぎたかな。本当は別世界を生きる人なのに。
「…翔平さん、？」
絞りだした声がちょっとだけ震えていた気がする。
何か考え込むように遠くを見ていた翔平さんは、私のつぶやきにハッと顔を上げて、さっきよりも明るい声を出した。
『A、なんかおすすめの本ある？』
あ、俺これ読んだことあるな！Aは？気になる本を手にとっては楽しそうに店内を回る翔平さんの大きな背中。私は彼のことが好きだ。
でも、到底叶う恋じゃない。
早く諦めなきゃ。
＊＊＊
残りの2週間はあっという間に過ぎた。最後の一週間は、あまりにも授業に夢中になっている翔平さんに話を聞いた一平さんも飛び入り参加で、山瀬先生もとても満足そうだった。翔平さんの足はすっかり良くなって、もう下半身に強い負荷をかけるトレーニングも再開している。一平さんの話だと、あと一週間もすれば実戦復帰できるんだとか。
『A、この一か月本当に楽しかった。ありがとね、俺野球もっと頑張るから。』
ぎゅっと私の手を握った彼の手に胸がきりりと痛む。
「翔平さんが元気になって本当に良かったです。頑張ってください。」
嬉しそうに頷いた翔平さんは一平さんと肩を並べて送迎車に向かって歩いていく。しっかりとした足取り。もう私の運転は必要ない。
「翔平さん！」
突然大きな声を出した私にん？どした！、と優しく振り向いた彼の目を私は見れなかった。
「シーズンが終わるまで、私に連絡しないでください。」
これが私の出した答えだ。
きっと野球に命を懸けている彼なら、シーズン終わりにはすっかり私のことを忘れているはずだ。
15年前の事を忘れたみたいに忘れてほしい。
これ以上苦しくなる前に
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みび - 続きが気になります！ (9月8日 23時) (
レス) id: 4e8c4ab155 (このIDを非表示/違反報告)
るう(プロフ) - miya381117さん» コメントありがとうございます！頑張ります！ (6月4日 16時) (レス) @page30 id: dfa5704a4e (このIDを非表示/違反報告)
miya381117(プロフ) - 続きが気になりすぎて眠れない^ ^翔平行けー！ (6月1日 21時) (レス) @page29 id: e8bd8eef5b (このIDを非表示/違反報告)
るう(プロフ) - 桐山めぐさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてすごくうれしいです！！投稿頑張ります！ (6月1日 17時) (レス) @page29 id: dfa5704a4e (このIDを非表示/違反報告)
桐山めぐ(プロフ) - こんにちは！このお話めちゃくちゃ面白いです♪大谷さん 主人公ちゃんに連絡出来ない日々を耐えてやっと会えると思ったのに、、主人公ちゃんに何もありませんように祈ります(T_T)続きも楽しみにしてます！応援してます♪♪ (6月1日 17時) (レス) @page29 id: bb3023c008 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るう | 作成日時：2023年5月26日 15時
