DH ページ26
Ohtani side
「ここが私のバイト先です!」
授業の後、強請って連れてきてもらったAのバイト先は街角にある小さな書店だった。オレンジ色の三角屋根が可愛らしいメルヘンな雰囲気で、店内もいい意味で乱雑に置かれた本たちが隠れ家的な魅力を引き出していた。
『可愛いとこだね。あれ、他に店員さんはいないの?』
「御覧の通り小さなお店なので、基本的に一人ですね。平日のこの時間はあまり人も来ないので所謂店番的な感じです。」
『ふーん。でも、何でバイト?A、課題で忙しいんじゃないの?』
「奨学金で学費は免除されてるんですけど、やっぱり日ごろのお小遣いくらいは自分で稼ぎたいなっていう。私、親の貯金と親戚の金銭的サポートをもらって何とかやってるので、少しでも周囲の負担を減らしたくて…。」
それ、全部払ってあげるのに。なんてとんでもない事が俺の脳内に浮かんだけど、いうのはやめた。気遣いのAがそれを聞いたら、もうそばにいるのをやめる、とか言い出しそうだし。
「あの、Davidわかりますか?図書館の司書の。」
『あー、あの子ね。一平さんの知り合いっていう。』
「そうです。ここ、彼のお母さんのお店なんですよ。そういう縁もあって割とゆるりと働いてます。こうやって暇なときは課題とかやってますし。」
『そうなんだ。でもお金の事で困ったことあったらいつでも俺に連絡してよ。勉強、集中したいときもあるだろうしさ。』
「有り得ません!翔平さんは自分にお金を使ってください!」
はいはい、と適当に相槌を打ちながら俺は考えた。
俺とAの関係って、何なんだろう。
友達?
にしてはAの態度はフォーマルだ。
知り合い?先輩後輩?
にしては距離が近いし
でも
恋人、では当然ない。
俺たちは、どこに向かってるんだ?
「でも、翔平さん。急に私のバイト先に来たいなんて、どうしたんですか?」
ポニーテールを靡かせて振り向いた彼女は不思議そうに首をかしげている。水色のTシャツが窓から入った日差しに当たって眩しかった。
『もっと知りたいから、かな。Aのこと。』
「…翔平さん、?」
俺はAのことが好き、だ。
でも、一体どうすればいい?
この感情を、どうやって形にすればいいんだろう。今すぐ抱きしめればいいの?
分からない、
打ち方がわからない。打席にも立てていないじゃないか。
俺は、結局、恋愛初心者すぎる。
808人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みび - 続きが気になります! (9月8日 23時) (レス) id: 4e8c4ab155 (このIDを非表示/違反報告)
るう(プロフ) - miya381117さん» コメントありがとうございます!頑張ります! (6月4日 16時) (レス) @page30 id: dfa5704a4e (このIDを非表示/違反報告)
miya381117(プロフ) - 続きが気になりすぎて眠れない^ ^翔平行けー! (6月1日 21時) (レス) @page29 id: e8bd8eef5b (このIDを非表示/違反報告)
るう(プロフ) - 桐山めぐさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてすごくうれしいです!!投稿頑張ります! (6月1日 17時) (レス) @page29 id: dfa5704a4e (このIDを非表示/違反報告)
桐山めぐ(プロフ) - こんにちは!このお話めちゃくちゃ面白いです♪大谷さん 主人公ちゃんに連絡出来ない日々を耐えてやっと会えると思ったのに、、主人公ちゃんに何もありませんように祈ります(T_T)続きも楽しみにしてます!応援してます♪♪ (6月1日 17時) (レス) @page29 id: bb3023c008 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:るう | 作成日時:2023年5月26日 15時