とんでもsuggestion ページ22
Ohtani side
自分に向かって襲ってくるボールに反応が遅れた。気づいたときには激痛が走って、あ、これだめだとすぐ悟った。担架に乗せられてすぐに病院行きが決まった。トレーナーと一平さんが一生懸命何か言っていたけど、よく分からなかった。頭が真っ白になった。
***
“肉離れですね。派手にいってるので全治4週間程かと…”
消毒の匂いが沁みついた診察室。淡々と診断を告げた医者にそうですか、と自分でもびっくりするくらい冷めきった声が出た。調整不足だったわけでも自分に非があったわけでもない。ただ、運が悪かった。それだけだ。そう、自分の心に落とし込もうと必死だった。でも
悔しい。
シーズンインからたった1〜2か月とはいえ、ここまで上手く自分を律して積み上げてきた。なんで今なんだ。今年こそ、もっとチームに貢献しようって頑張っていたのに。
なんで、
なんで。
***
あれから5日が経った。俺はケガをして絶対安静を命じられていたので、大人しく家にいた。俺はじっとしている、という行為が一番嫌いだった。でも、変に動いてまたケガが悪化したら本末転倒だ。ずっと、ベッドに横たわって天井を見上げる日々。落ち着いてからAにはいつも通り「おはよう」とメッセージを送ったけどもう2日返事が来ていない。多分あの子のことだから俺に気を遣ってどんな言葉が正しいのか迷いに迷ってるんだろう。何だか凄く心が重い。
朝のスムージーをのどに流し込んでため息をつくと、テーブルの携帯がぶるぶると震えた。
相手は、いま考えていたAだった。
A翔平さん、絶対に体を無理させないと約束するので時間を頂けますか?お話したいことがあります。必要であれば、車も出します。
唐突な申し出に目を瞬く。
『A、免許持ってたんだ。』
やっぱり、俺、まだAの事なんも知らないな。本屋のバイトも知らなかったし。俺は返事を打ち込みながらそう思った。だけど何だか少し気分が上昇した気がする。
Shohei Ohtaniいいよ。運転大変だろうしもし良かったら家に来ない?
***
Aは次の日に家に来た。俺が待てなくて明日来て!と呼んでしまったのが実際のところだけど。彼女は学校帰りだったらしく重そうなリュックを背負って広いですね、と恐縮しながらソファに座った。
『久しぶりだね。』
「はい、翔平さん」
Aは俺の怪我には一切触れない。
「私と大学生になりませんか?」
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みび - 続きが気になります! (9月8日 23時) (レス) id: 4e8c4ab155 (このIDを非表示/違反報告)
るう(プロフ) - miya381117さん» コメントありがとうございます!頑張ります! (6月4日 16時) (レス) @page30 id: dfa5704a4e (このIDを非表示/違反報告)
miya381117(プロフ) - 続きが気になりすぎて眠れない^ ^翔平行けー! (6月1日 21時) (レス) @page29 id: e8bd8eef5b (このIDを非表示/違反報告)
るう(プロフ) - 桐山めぐさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてすごくうれしいです!!投稿頑張ります! (6月1日 17時) (レス) @page29 id: dfa5704a4e (このIDを非表示/違反報告)
桐山めぐ(プロフ) - こんにちは!このお話めちゃくちゃ面白いです♪大谷さん 主人公ちゃんに連絡出来ない日々を耐えてやっと会えると思ったのに、、主人公ちゃんに何もありませんように祈ります(T_T)続きも楽しみにしてます!応援してます♪♪ (6月1日 17時) (レス) @page29 id: bb3023c008 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るう | 作成日時:2023年5月26日 15時