ホワイトフェアリー 2 ページ20
Ohtani side
やっぱり宮野さんは妖精だったんだ、と思った。
数年のブランクを感じさせず彼女は細い刃を味方につけて、飛んではねて、くるくる
舞った。花柄のワンピースのスカートがふわりと宙に跳ねた。
キラキラと輝く彼女の瞳はどんな瞬間よりも美しかった。白い世界の真ん中でスピンを始めた宮野さんのシルエット。そのままオルゴールにしたいくらい綺麗だ。
『やっぱすっげえ。』
自分でどんなに高くホームランを上げた時も、どんなに速い球を投げた時もこんな高揚感を味わうことはない。彼女のスケートはやっぱり魔法だった。
でも、13歳の時の俺とはきっと違う。
あの時の俺はあの子がするスケートが好きだった。
今は、
スケートをするあの子自身が好きだ。
＊＊＊
「ふうー！思ったより沢山滑っちゃいました！」
20分ほど滑った宮野さんは少し息を切らしながらすっきりした顔で戻ってきた。それを見たとき、あ、俺の役目はこれでおしまいなんだと自覚した。もう会ってくれなかったらどうしよう。完全に自分の中の恋心に気づいてしまった俺はアラサーのくせにまたくよくよしている。これが二刀流の真の姿だ。馬鹿野郎。
『宮野さん、最高だった。やっぱすごいよ。実際滑ってみたからよくわかる！宮野さんは神！』
「いやいやそんな…全然体動いてなかったですし…あーこんな日がくるならスケート続けておけばよかったかな。」
『でも、勉強頑張る選択肢とってなかったらきっと宮野さん俺と出会ってないよ。』
キザすぎて引かれたかな、と思ったのもつかの間彼女は花が咲いたように笑ってくれた。
「あ、確かに。それもそうですね！…ていうか、大谷さん、いつまで私のこと宮野さんって呼ぶんですか？私、年下なのにちょっと変ですよ！」
『そうかな？じゃあ、A…？』
「…はい。」
自分から提案したくせにいつもみたいに照れて下を向く彼女がたまらなく愛おしかった。
『じゃ、Aも俺の事下の名前で呼んでよ？』
「ええ、そんなおこがましいことできません！」
『えー、じゃあアサイーボウルのお返し！』
「それはずるいじゃないですか」
『はい、呼んでみて？』
「…翔平…さん。」
一平さん、どうしよう。俺、本当に恋しちゃったみたいだ。人って恋に落ちたらだめになるっていうよね。明日からAのことしか考えられないダメ人間になったらどうしよう。でも、もう手遅れだ。俺の心は13歳の時から彼女のものだったも同然なんだから。
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みび - 続きが気になります！ (9月8日 23時) (
レス) id: 4e8c4ab155 (このIDを非表示/違反報告)
るう(プロフ) - miya381117さん» コメントありがとうございます！頑張ります！ (6月4日 16時) (レス) @page30 id: dfa5704a4e (このIDを非表示/違反報告)
miya381117(プロフ) - 続きが気になりすぎて眠れない^ ^翔平行けー！ (6月1日 21時) (レス) @page29 id: e8bd8eef5b (このIDを非表示/違反報告)
るう(プロフ) - 桐山めぐさん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてすごくうれしいです！！投稿頑張ります！ (6月1日 17時) (レス) @page29 id: dfa5704a4e (このIDを非表示/違反報告)
桐山めぐ(プロフ) - こんにちは！このお話めちゃくちゃ面白いです♪大谷さん 主人公ちゃんに連絡出来ない日々を耐えてやっと会えると思ったのに、、主人公ちゃんに何もありませんように祈ります(T_T)続きも楽しみにしてます！応援してます♪♪ (6月1日 17時) (レス) @page29 id: bb3023c008 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るう | 作成日時：2023年5月26日 15時
