そ う る − と

そうだけに ページ12

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「ふあ、…ぁふ、」




あくびをかみ殺しながら通学路を歩く。


高校に上がると自転車通学がかなり増えるため、この道は私のようにのそのそ歩いている方が少ない。

学校の最寄駅も反対側にあるからそのせいでもある。



でも、最寄りのバス停にさしかかると、一気に歩行者が増えるのだ。


今も前の方に見えてきたバス停らへんから、歩行者の数が増えている。





…そういえば


この前奏くん、なにか言いかけてたな。



バス、待ったらいるかな

いっつも私が教室で友達と話してる時に登校してくるし、次の便に乗ってるかも。




バス停のベンチに座って数分待っていると、見慣れたデザインのバスが近づいてきた。


乗客のほとんどが同じ制服を身にまとった学生。



奏「…あ」

「いた」



私、もしかして天才？？






*




「おはそーくん」


奏「なにそれｗ」



いつも一人で歩く道を、奏くんと並んで歩いていく。



なんかあれだな。

友達としゃべりながら歩くだけでけっこう違うもんだな。




奏「僕のこと待ってたの？」


「まぁ。さっき通りかかって、一便だけ待ってみるかなって」



奏「そっか。なにか用事でもあった？」


「んー…。そういうわけでもないんだけどさ、」





なんかこの前、言いかけてなかった？






そう聞くと、奏くんは一瞬間を取って、そうだったっけ？と返してきた。



「そうだったよ。奏だけに」


奏「…ッ！」



奏「そ、そうだ、歌い手とか、知ってるのかなぁって」



Souくんでおなじみのセリフを言ってみると、過剰なほどに反応する奏くん。



なるほど、これは…



「奏くんって、やっぱりさ、、」





「Souナーでしょ！？」






奏「…へ？」



「だってさ！奏だけにの反応的に絶対Souくん好きじゃん！」


奏「あ、あー、えっと、まぁ…」



「やっぱりね！あ、じゃあさ、一昨日のSouくんのキャスみた？」


奏「いや、キャスはそんなに…」



「えぇ！もったいな！昨日ね、Souくんがその日私たちがはなしてた内容そっくりな体験してるって話してたんだよ！」


奏「、そ、そうなんだ、すごいね、それ」


「ほんとだよね！」




若干引き気味な奏くん。


でもさ、あんだけ有名人と体験がかぶるってそうそうないよ？

Souだけに。



「なんかもうね、奏くんがSouくんなんじゃないかって思っちゃうくらいすごい偶然」



奏「案外、そうだったりして」

「奏だけに？」


奏「やめろww」

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