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(Ki side)

目の前に 助けてくれる人が居る事が
手を差し伸べてくれている事が

本当は凄く嬉しくて
早くその手を掴みたいのに

こんな時になっても俺は何も言えずにただ


涙を流した


そんな俺に藤ヶ谷は そっとタオルを差し出した

その優しさが痛かった

自分の弱さが憎かった


F「 もういいから…泣かなくていいから… 」


どの瞬間を切り取っても 藤ヶ谷は完璧な紳士だった



そんな彼に魅かれるように ついに俺は口を開いた


Ki「 …好きな人が…いる… 」


相槌も打たなければ頷きもしない藤ヶ谷


今何を思ってる?
藤ヶ谷の心の声が聞こえれば良いのに

そう思った


Ki「 …男… 」


そう呟いてみた


F「 そっか… 」


彼は理解したようだったが 驚かなかった

顔の表情一つ変えず、俺の目を見つめ言った


F「 苦しかったね… 」


そこで藤ヶ谷は やっと微笑んだ

見た事ないくらい優しい笑顔だった



こんなにも惨めな俺を 哀れんだりはしなかった

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作者名:瑠 花 . | 作成日時:2016年3月12日 17時

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