There is always light behind the clouds. 2 ＜HP長編＞ (ページ1)

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アズカバンの囚人編 1 ページ1

「おはようA、ハバード」
「やあ」
「おはようドラコ、ノット」
「おはよう、マルフォイにノット」
私がエリオットとコンパートメントを探しているとき、ちょいちょいとドラコが手招きをした。ノットとドラコが座っている。
2人分空いていたので、座らせてもらった。
ああ、最近ドラコにお熱なパンジーに殺されそう。
「シリウス・ブラックって知ってるか？」
ノットが日刊預言者新聞を広げて言った。
「マグルを沢山殺したっていうあの？知ってるわ、脱獄したんでしょう」
エリオットが応えた。ブラック、聞いたことがある。確かお母さんの生まれた家だ。そして、シリウスはお母さんの兄妹……つまり、私の叔父だということは知っている。
「……そうなの？……でも、シリウスは私の叔父よ……」
「そう言えばA、そんなことを言っていたな」
「ええ。叔父さんに会ったことがなくて、何処にいるかお母さんに聞いたら、はぐらかされちゃって」
「……ご、ごめんなさいA」
「大丈夫よ！……それよりノット、シリウスはまだ逃げてるの？」
「そうみたいだよ」
怖いわね、本当だよ、と話をしていた時、列車がいきなり止まった。
「何？……なんだか寒くない？」
９月にしては寒いぐらいの寒さが私たちの肌をさす。
「……！A、あれ」
エリオットが怯えきった声でコンパートメントのドアの外を指さす。
「ディメンターだ、アズカバンの看守だよ」
「……シリウスが逃げたから……」
「と考える方が自然だろうね」
エリオットにしがみついて過ぎるのを待った。
その場が凍るとはこの事だ、とでも言わんばかりに皆がフリーズする。
通り過ぎたのと同時ぐらいにコンパートメントのドアを開ける音がした。鳶色の髪で、継ぎ接ぎが目立つ男性、おそらく先生だろう。
「気分が悪かったらチョコレートをあげようか？」
「あ、大丈夫です。ありがとう」
「なら良かった。私はR.J.ルーピンだ、宜しくね。君たちは大丈夫かい？」
「……ええ」
ほかのコンパートメントも見てくるから、またホグワーツでね、そう言ってルーピン先生は歩いていった。
列車の外に広がる不穏な雲が、何処か私たちに危険が迫っていることを暗示しているようで、ひどく恐ろしかった。